歯の神経が生きているか死んでいるかの検査について

みなさん、こんにちは。かさはら歯科医院、歯科医師の岩谷です。

 

先日、虫歯があるので診て欲しいという患者さんのレントゲン写真を撮ったところ、虫歯が神経のお部屋の近くまで広がっていました。しかしながら、患者さんは全く痛みがないと仰っていました。これはどのような状況なのでしょうか。このように大きな虫歯があっても、冷たいものや熱いものが染みることがない場合や、お食事中に食べ物を噛んでも痛みがない場合などは、神経が既に死んでいる可能性があります。

神経が正常に機能しているかどうか判断するために、以下に示す2つの検査を行います。

 

①歯に氷を当てて冷たさを感じるかどうか

②歯に微弱な電気の刺激を与えて反応があるかどうか

 

ここで少しこの検査について掘り下げて考えてみたいと思います。

“感度”、“特異度”という言葉を聞いたことはございますか。あまり聞き慣れない言葉かもしれません。これは統計学で用いられる概念で、“感度”とは、ある検査について、「陽性と判定されるべきものを正しく判定する確率」として定義される値のことです。感度が高いとは、「陽性と判定されるべきものを正しく陽性と判定する可能性が高い」、あるいは「陽性と判定されるべきものを間違って陰性と判定する可能性が低い」ということです。一方、“特異度”とは、ある検査について「陰性のものを正しく陰性と判定する確率」として定義される値のことです。特異度が高いとは、「陰性のものを正しく陰性と判定する可能性が高い」、あるいは「陰性のものを間違って陽性と判定する可能性が低い」ということです。また、“陽性的中率”とは、検査で陽性と判定されたうち、どれくらいの歯の神経が死んでいるか、“陰性的中率”とは検査で陰性と判定されたうち、どれくらいの歯の神経が生きているかを表しています。

少し難しい話になってしまいましたが、①の検査は“陰性的中率”が高いと言われています。つまり、①の検査で反応があった場合は神経が生きている可能性が高いと言えます。一方、②の検査は“陽性的中率”が高いと言われています。つまり、②の検査で反応がない場合は神経が死んでいる可能性が高いと言えます。①、②、どちらの検査も100%の結果が得られる訳ではないため、レントゲン写真やお口の中の状態も併せて考える必要があると言えます。