こんにちは!歯科医師の山岸です🦷
前回は血圧異常について書いていきました。
その中で触れた高血圧の治療において、降圧薬を服用する場合があります。
今回はその降圧薬により生じうる副作用について書いていきます。
まず、降圧薬による口腔内の副作用として歯肉増殖と口腔乾燥があるため、各々説明していきま
す。
○歯肉増殖
降圧薬のうち、ニフェジピンやアムロジピンなどのCa拮抗薬は、歯肉増殖を引き起こすことがあり
ます。
完全には解明されていませんが、歯肉のコラーゲンの産生と分解のバランスが崩れ、組織に蓄積す
るためと考えられています。
もう少し詳細に説明すると、
①ニフェジピンやアムロジピンなどが、細胞内のカルシウム調節や情報伝達に影響を及ぼし、歯肉
の線維芽細胞の働きが変化します。
②コラーゲン分解酵素の働きや、線維芽細胞がコラーゲンを取り込んで分解する働きが低下し、歯
肉の結合組織が増えます。
単に細胞数が増えるだけではありません。
③増殖した歯肉は清掃しにくくなるため、歯垢が蓄積し、発赤・腫脹・出血が加わり悪循環が生じ
ます。
つまり、薬剤による線維性の歯肉増殖に、歯垢による炎症性の腫れが重なるのです。
対応としては、ブラッシング指導や歯石除去などを行うことで口腔衛生状態を改善します。
改善が不十分な場合は、主治医に薬剤変更の可否を相談し、必要に応じて歯肉切除を検討する場合
があります。
○口腔乾燥
唾液の分泌は自律神経によって調節されており、一部の降圧薬はこの神経調節に影響し、唾液の量
や性状を変化させることがあります。
また、利尿薬は尿への水分・ナトリウムの排泄を増やすため、脱水傾向になると、唾液の分泌量も
減少することがあります。
このように、唾液を出す調節への影響と体内の水分の減少が原因となり口腔乾燥が生じる場合があ
ります。
ただし、すべての降圧薬で同じように起こるわけではなく、口の乾燥感があっても、実際の唾液分
泌量は低下していない場合もあります。
唾液が減ると、自浄作用・酸を中和する作用・再石灰化作用が弱まり、う蝕や口腔粘膜の炎症、歯
周病、カンジダ症などが生じやすくなります。
服薬内容を確認し、保湿剤やフッ化物の使用、口腔衛生管理を行い、症状が強い場合は主治医に薬
剤調整について相談する場合があります。
降圧薬による歯肉増殖や口腔乾燥といった副作用が生じる場合がありますが、発症には個人差があ
り、服用者全員に起こるわけではありません。
仮に疑わしい症状が生じた場合でも自己判断による休薬はおやめください。
もし何か気になることがあればご相談ください。
