こんにちは!歯科医師の山岸です!🦷
今回は薬剤性大腸炎についてかいていきます。
〇薬剤性大腸炎とは
薬剤の使用により大腸粘膜に炎症やびらん、潰瘍が生じ、下痢、腹痛、血便などを呈する疾患で
す。
原因薬には抗菌薬、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)などがあり、歯科診療では特に抗菌薬に
よる大腸炎に注意します。
代表的なものに、偽膜性大腸炎と抗菌薬関連出血性大腸炎があります。
〇偽膜性大腸炎とは
・概要
抗菌薬によって腸内細菌叢のバランスが崩れ、Clostridioides difficileが増殖することで起こり
ます(菌交代現象)。
Clostridioides difficileにより産生された毒素が腸粘膜を傷害し、壊死組織やフィブリンなどか
らなる黄白色の偽膜を形成します。
高齢者や基礎疾患を有する患者、入院患者では発症リスクが高いそうです。
抗菌薬の投与中だけでなく、終了後に発症する場合もあるようです。
・症状
頻回の水様性下痢が主であり、腹痛、発熱、腹部膨満などを伴いますが、血便は比較的少ないで
す。
・原因
セフェム系、クリンダマイシン、リンコマイシン、ニューキノロン系の抗菌薬などが知られていま
すが、他の抗菌薬でも発症する場合があります。
〇抗菌薬関連出血性大腸炎とは
・概要
詳細は不明ですが、アモキシシリンなどの合成ペニシリン系薬の使用後によくみられます。
比較的若年者にも発症します。
・症状
突然の強い腹痛、下痢、鮮血便が特徴で、発熱は目立たないことが多いです。
・原因
アモキシシリンなどの合成ペニシリン系抗菌薬。
〇診断
服薬歴と症状の出現時期を確認します。
偽膜性大腸炎が疑われる場合は、便中のC. difficile抗原・毒素検査などを行い、必要に応じて内視
鏡検査で粘膜の状態を評価するようです。
〇治療
基本的には、原因薬の中止または変更を検討します。
補液などで脱水や電解質異常を補正することもあるようです。
C. difficile感染症では、重症度や再発リスクに応じて経口バンコマイシン、フィダキソマイシン、
メトロニダゾールなどを用いることがあるようです。
出血性大腸炎では、原因抗菌薬の中止と支持療法により改善することが多いです。
〇歯科治療における注意点
歯科では抗菌薬を処方する機会があるため、治療前に現在および最近の服薬歴、薬剤性大腸炎の既
往、抗菌薬服用時の下痢の有無を確認します。
既往のある患者では原因薬を記録し、必要に応じて主治医と連携します。
抗菌薬は適応を十分に検討し、不必要な投与や漫然とした長期投与を避けます。
歯性感染症では、切開・排膿や根管治療などの感染源への処置を適切に行い、抗菌薬だけに頼らな
いようにします。
鎮痛薬についても、NSAIDsによる消化管障害の既往を確認します。
処方時には、頻回の下痢、強い腹痛、血便、発熱が出現した場合、速やかに処方元へ連絡するよう
説明します。
大腸炎が疑われた場合は原因薬の投与を中止し、内科・消化器内科へ紹介する場合があります。
また、C. difficileの芽胞にはアルコールが効きにくいため、感染が疑われる場合、手袋の使用に加
え、流水と石けんによる手洗いなどの接触感染対策を徹底する必要があります。
以上、薬剤性大腸炎についてでした。