こんにちは!歯科医師の山岸です!🦷
今回は、免疫性血小板減少性紫斑病(ITP:Immune thrombocytopenia)に
ついて説明していきます。
免疫性血小板減少性紫斑病(ITP)は、免疫学的機序によって血小板が減少し、
出血しやすくなる疾患です。
成人では慢性型、小児ではウイルス感染後に発症する急性型が多いです。
〇病態
※病態とは、病気によって体内でどのような異常が起こり、それがどのように症
状へつながるのかを示したものです。
ITPでは、血小板に対する自己抗体(主にIgG)が産生され、血小板の表面に結
合し、本来身体を守る免疫が誤って自分の血小板を攻撃してしまいます。
これはⅡ型アレルギーに分類される免疫反応です。
自己抗体が付着した血小板は、主に脾臓のマクロファージによって異物と判断
され、通常より早く破壊されてしまいます。
また、自己抗体や免疫細胞が骨髄の巨核球にも作用し、新しい血小板の産生を妨
げることがあります。
つまり、ITPでは「血小板の破壊が増えること」と「血小板の産生が低下するこ
と」の両方によって、血液中の血小板数が減少してしまいます。
血小板には、血管が傷ついた際に傷口へ集まり、血小板血栓を作って出血を止め
る一次止血の役割があります。
そのため血小板が減少すると一次止血が不十分になり、皮膚の点状出血や紫斑、
鼻出血、歯肉出血など、皮膚・粘膜を中心とした出血症状が現れます。
簡単にまとめると、
自己免疫反応→ 血小板の破壊増加・産生低下 → 血小板数の減少
→ 一次止血の障害 → 紫斑、鼻出血、歯肉出血などが生じる
という病態です。
〇症状
代表的な症状は、皮膚の点状出血や紫斑、鼻出血、歯肉出血、月経過多などで
す。
軽い刺激でも出血しやすく、一度出血すると止まりにくいことがあります。
血小板数が著しく低下した重症例では、消化管出血や血尿、まれに頭蓋内出血な
どの重篤な出血を起こす可能性があります。
〇検査・診断
血液検査では血小板数の減少を認める一方、通常は赤血球数や白血球数に大きな
異常はありません。
薬剤性血小板減少症、再生不良性貧血、白血病、肝疾患、播種性血管内凝固症候
群など、血小板減少を起こす他の疾患を除外して診断する必要があります。
〇治療
治療の目的は血小板数の正常化ではなく、重篤な出血を防止できる値に維持する
ことで、出血が軽微な場合は経過観察とし、治療が必要な場合は副腎皮質ステロ
イドを使用する場合があるようです。
〇歯科治療時の注意点
治療前に出血歴、直近の血小板数、内服薬、ステロイドの使用状況を確認し、抜
歯や歯周外科などの観血的処置を行う場合は、事前に血液内科の主治医へ照会
し、処置の可否や周術期管理について相談する必要があります。
血小板数が著しく少ない場合は歯科治療を延期し、原疾患の治療を優先する場合
もあります。
また、長期ステロイド使用例では、感染、創傷治癒遅延、副腎機能抑制にも注意
が必要となります。
以上、免疫性血小板減少性紫斑病(ITP)についてでした。