こんにちは。歯科医師の山岸です。🦷
今回は外傷歯の治療について書いていきます。
量が多いので前半と後半に分けていきます。
○歯冠破折
⚫︎不完全破折(亀裂)
歯髄の生活力を維持するために、凍みる場合には歯の表面に凍止めの材料
を塗布します。
1〜3か月後に予後を確認し、その後、少なくとも1年間は経過観察を行いま
す。
⚫︎露髄を伴わない歯冠破折
歯髄の生活力を維持し、正常な外観と機能を回復するために、破折片を接着す
るか、プラスチックの材料によって歯冠形態を回復します。
神経には達していないものの、破折が大きい場合には、水酸化カルシウム製剤
で髄角部の間接覆髄を行ってから歯冠形態の回復を行います。
1〜3か月後に予後を確認し、その後、少なくとも1年間は経過観察を行いま
す。
予 後として、露髄や脱臼を伴わない場合は合併症は起こらないことが多いで
す。
⚫︎露髄を伴う歯冠破折
歯髄の生活力を維持し、正常な外観と機能を回復するために以下の治療を行い
ます。
①根未完成歯の場合
局所麻酔を行い、歯髄の状況に応じて直接覆髄法、部分生活断髄法、生活断
髄法といった神経に対する処置を行います。
そして、破折面を封鎖性が確実な材料で蓋をして、プラスチックの材料にて
歯冠形態を回復します。
②根完成歯の場合
受傷後、約24 時間以内であり、露髄面が新鮮な場合は①と同じ方法で治療し
ます。
露髄面が陳旧性である場合は抜髄または根管治療を行います。
1〜3か月後に予後を確認し、その後、少なくとも3年間は経過観察を行いま
す。
○歯根破折
⚫︎歯根破折
歯根膜線維と歯髄血管の断裂を治癒させ、歯の審美性と機能をもとの状態に保
つために、歯冠側破折片を解剖学的に正しい位置に戻し、固定を堅固にして安
静を保つことを目的として以下の治療を行います。
・歯冠部破折片に転位が見られる場合には速やかに整復します。
・受傷歯を隣在歯を固定源として2〜3か月間堅固に固定します。
・根管歯髄の壊死の徴候が現れるまで根管治療は行いません。
・根管治療を行う場合でも、歯冠側破折片の根管治療にとどめ、根尖側破折片
の歯髄の除去は行いません。
1、2、3、6、12 か月後に予後を確認します。
受傷時の歯根形成の段階と歯冠側破折片の転位の程度が予後を左右する要素に
なると考えられています。
⚫︎歯冠・歯根破折
・歯冠部歯髄まで達している場合は 露髄を伴う歯冠破折と同様の治療を行いま
す。
①根未完成歯の場合
局所麻酔を行い、歯髄の状況に応じて直接覆髄法、部分生活断髄法、生活
断髄法といった神経に対する処置を行います。
そして、破折面を封鎖性が確実な材料で蓋をして、プラスチックの材料に
て歯冠形態を回復します。
②根完成歯の場合
受傷後、約24 時間以内であり、露髄面が新鮮な場合は①と同じ方法で治療
します。
露髄面が陳旧性である場合は抜髄または根管治療を行います。
・歯肉縁下深部におよぶ場合は歯の保存が困難となり、抜歯となることがあり
ます。
まずは前半でした。次回は後半を書いていきますね。🦷