こんにちは!歯科医師の山岸です!
前回は口臭の分類について書いていきました。
今回は口臭の原因物質、検査について書いていきます。
口臭の原因は主に口腔内の気体由来であり、その主要原因物質は揮発性硫黄化合
物(VSC:Volatile Sulfur Compounds)です。
揮発性硫黄化合物には硫化水素、メチルメルカプタン、ジメチルサルファイドが
あります。特に硫化水素とメチルメルカプタンが大部分を占めます。
これらの揮発性硫黄化合物は、口腔内に生息している嫌気性菌が唾液、血液、剥
離上皮細胞、食物残渣中の含硫アミノ酸を分解・腐敗することで産生されます。
揮発性硫黄化合物が産生されやすい部位としては疾患の病巣(辺縁性歯肉炎、口
内炎、壊死性軟組織疾患、口腔癌など)、舌苔、貯留唾液があります。
このうち歯周病や舌苔が原因の大部分を占めます。
生理的な口臭では呼気中の硫化水素が主に検出され、メチルメルカプタンは極め
て低いですが、歯周病患者ではメチルメルカプタンの割合が高くなる事が多いで
す。
続いて、口臭検査には歯医者が実際に匂いを嗅いで判断する方法(官能試験)と
口臭測定機器を用いて判断する方法があります。
口臭検査機器を用いて行う検査を以下に示します。
○ガスクロマトグラフィー法
揮発性硫黄化合物に含まれる硫化水素、メチルメルカプタン、ジメチルサルフ
ァイドをそれぞれ定量することができる。
○ハリメーター(ガスセンサー法)
揮発性硫黄化合物(硫化水素、メチルメルカプタン、ジメチルサルファイド
等)の総濃度を測定する。
官能試験について以下に示します。
○UBC式官能試験
①患者がチューブをくわえ、呼気を吐き出す。
②壁を挟んで向かい側にいる術者がチューブから出てくる呼気を鼻腔に当て、
口臭の有無を判断する。
*術者は患者の姿を見ずに行う。
○簡便法
患者の息を20cm前後の距離にて嗅ぎ、口臭の有無を判断する。
上記のような検査を行い、口臭の有無等についてそれぞれ評価します。
評価したうえで、口臭や口腔清掃指導、専門的な清掃、全身疾患や口腔内の疾患
の治療、医科や精神科への紹介をすすめていくという流れとなります。口臭の簡
便検査はある程度可能ではありますが、定量的に行う方法には特殊な機器が必要
となってしまいます。そのため、検査できる施設は少ない状況ではあります。し
かし、口臭の原因としては歯周病の関与が主に考えられるため、歯周病治療は普
段から行っておくのが良さそうですね。