楔状欠損について

皆さん、こんにちは!歯科医師の山岸です!🦷

前回、歯の損耗(tooth wear)のうち、咬耗症、摩耗症、酸蝕症について説明さ

せていただきました。

そして、今回はくさび状欠損、アブフラクションについて詳しく説明していきま

す!

○くさび状欠損(wedge-shaped defect)

くさび状欠損とは、歯の歯茎付近(歯頸部)に生じる特有なくさび形の欠けで、

歯の硬組織欠損のうちう蝕に次いで多い硬組織疾患です。

くさび状欠損の原因として、主に二つのメカニズムが考えられます。

一つは、歯ブラシの不正使用や歯磨剤の摩耗作用によって歯頸部の菲薄なエナメ

ル質が喪失し、象牙質にも欠損が及ぶといった、歯ブラシによる摩耗です。

もう一つは、後ほど説明するアブフラクションによって生じる欠損です。

しかし、どちらか一方の原因だけでくさび状欠損が生じるとは言えず、歯ブラシ

による摩耗と咬合が相互に作用するとともに、酸蝕の関与も考慮する必要があり

ます。

くさび状欠損は年齢とともに増加しますが、女性より男性に、下顎より上顎に多

く認められます。

好発部位は犬歯、小臼歯の唇頬側歯頸部(前から3〜5番目あたりの歯茎付近)で

す。

また、歯ブラシ摩耗によるくさび状欠損は、輪郭が不明瞭、表面は滑沢で象牙質

面は黄色や褐色を呈することもあります。

欠損部に象牙質知覚過敏症やう蝕を併発することもあり、さらに進行すると歯冠

破折(歯が折れる)に至ることもあります。

○アブフラクション(abfraction)

過度な咬合力が歯の頭の部分(歯冠部)に加わると、歯にひずみが生じて歯頸部

に応力が集中し、エナメル質と象牙質の弾性係数の違いから、歯頸部に集中した

引張応力によってエナメル質および象牙質が破壊されて欠損が生じます。

これをアブフラクション(abfraction)といい、歯と歯が接した部位に力が加わる

ことによって欠損が生じる咬耗症とは異なり、加わった過度な力がその部位と離

れた部位に欠損を生じることが特徴です。

アブフラクションは、重度のブラキシズム等の咬合習癖をもつ患者において発現

率が高く、アブフラクションが認められる歯の咬合面には、機能咬頭(向かい合

う歯と接触する部分)の斜面上に咬合接触面 (ファセット)が存在することが多い

です。

欠損形態は、欠損の輪郭が鋭いくさび状を呈し、エナメル質で生じた欠損が歯肉

縁下に及ぶ場合があります。

また、被せ物の直下や境界部分に発生することもあります。

以上、くさび状欠損、アブフラクションについてでした!

歯の欠け方にはう蝕以外にも色々あるんですね。🦷

以前と比較して歯の形が変わったな、気になるなと感じた場合はお気軽にご相談

ください!