歯周病治療のはじめ②

みなさん、こんにちは。歯科医師、関です。

12月に入り、今年も残すところあと少しです。令和元年も終わりを迎えてしまうのですね。月日が経つのは早いです。

 

さて、今回の豆知識は、前回の『歯周初期治療』の続きです。

 

前回のおさらいですが、歯周初期治療は、歯周病の重症度に関わらず、すべての歯周病の患者さんに行う最初の治療でありその内容は、以下のものがあります。

①口腔衛生指導

②歯肉縁上の歯石除去

③歯肉縁下の歯石除去

④医原性刺激源の除去

⑤天然歯形態の修正

 

前回は、①~③までお伝えしたので、その続きからです。

 

④医原性刺激源の除去

歯の正しい・効果的な磨き方を身に着け、専門的に歯の汚れ取りをしても、お口の中の状態が汚れのたまりやすい状態では歯周病の治癒がうまくいかないこともあります。医原性刺激源の除去では、不適当な歯科治療によって汚れがたまりやすくなってしまっている部分を外します。

・不適合修復物、補綴物:つめもの、かぶせものが合っていない

・ポンティックの形態不良:ブリッジのダミーの歯の形態が悪い

・オーバーカントゥア:かぶせものの形が大きすぎる

 

⑤天然歯形態の修正

元々の歯自体の形が汚れのたまりやすい構造になってしまっていることもあります。この場合も④同様、うまく磨くことが困難で治療がうまくいかないことがあるため、形の良くない部分をバーで削って整えます。

・下顎大臼歯のエナメル突起、エナメル滴:下の奥歯の根の分かれ目の形態異常

・上顎前歯の斜切痕:上の前歯の裏側の深い溝

 

以上が歯周初期治療の内容です。次に、歯周初期治療後の合併症も紹介します。

 

①歯肉退縮

歯茎の位置が下がることです。通常、汚れがたまり歯周病の炎症の状態にある歯茎は腫れています。歯周初期治療の汚れ取りにより腫れていた歯茎の炎症が落ち着いて歯茎が引き締まることにより、腫れていた状態に比べ歯茎の位置は下がります。

歯周病による骨や付着の破壊がみられない状態の歯肉炎では、歯茎が引き締まることで正常の位置に歯茎が戻りますが、骨や付着の破壊が起きている歯周病では、引き締まることで歯茎は正常位置よりも下がり根が露出します。

前歯の歯茎の位置が下がると見た目にも影響します。

 

②知覚過敏

虫歯ではないのに歯が冷たいものや甘いもの、歯磨き時にしみる状態です。歯周病の方は、歯の表面に歯石や汚れが多く沈着しており、歯周初期治療ではこれらをきれいに除去します。いままで露出していなかった歯の表面が露出するため、刺激を感じやすくなります。

また、歯肉退縮によって歯の根の部分が露出した場合、根の部分は刺激を感じやすいため、しみます。

ただ、いずれも知覚過敏は一時的なもので次第に緩慢化していきます。しみる状態が強い場合は、表面に知覚過敏用の薬を塗布したりもします。

 

歯周病の治療によって歯茎が下がったり、知覚過敏になるのが嫌だからといって、歯周病の治療をしないと歯を失うことにつながります。進行する前に早期に治療・相談をしましょう。