う蝕治療ガイドライン第2版に学ぶその5

こんにちは。

歯科医師の角田です。

今回も日本歯科保存学会より編著されました、う蝕治療ガイドライン第2版の内容を纏めさせて頂きます。前回は中程度のう蝕、象牙質まで進行したう蝕の切削基準についての内容でした。それでは今回は、う蝕を除去した後、窩洞を修復する手段について、具体的には直接コンポジットレジン修復とメタルインレー修復の両者に治療成績の差異は存在するのか、という内容について纏めさせて頂きます。

 

直接コンポジットレジン修復とメタルインレー修復については、本院のブログでも多くの方が解説しているので、詳しい説明は省かせて頂きます。簡単に纏めてしまえば、口腔内にて直接、コンポジットレジンと呼ばれる材料を歯に詰めて治す治療法が直接コンポジットレジン修復であり、型を採った後に技工士が金属の詰め物を作成し、それを歯に入れる方法がメタルインレー修復です。

 

う蝕治療ガイドライン第2版には、以下のCQが提唱されています。

 

CQ14:臼歯咬合面(1級窩洞)の修復法として、直接コンポジットレジン修復とメタルインレー修復の臨床成績に違いはあるか。

推奨:臼歯咬合面(1級窩洞)に対するコンポジットレジン修復とメタルインレー修復の臨床成績に有意な差はない(エビデンスレベル「V」)。しかし、コンポジットレジン修復は、MI の理念に基づいてう蝕除去を行い、確実な接着操作を行うことによって、健全歯質を可及的に保存し、審美的な修復が可能である。よって、臼歯咬合面(1級窩洞)に対して直接コンポジットレジン修復を行うことが推奨される。(推奨の強さ「B」)

 

CQ15:臼歯隣接面(2級窩洞)の修復法として、直接コンポジットレジン修復とメタルインレー修復の臨床成績に違いはあるか。

推奨:臼歯隣接面(2級窩洞)に対するコンポジットレジン修復とメタルインレー修復の臨床成績に有意な差はない(エビデンスレベル「V」)。しかし、コンポジットレジン修復は、MI の理念に基づいてう蝕除去を行うため、健全歯質を可及的に保存し、審美的な修復ができる。よって、確実な接着操作とコンポジットレジンの填塞操作が可能であれば、臼歯隣接面(2級窩洞)に対して直接コンポジットレジン修復を行うことが推奨される。(推奨の強さ「C1」)

 

結論を述べると、直接コンポジットレジン修復とメタルインレー修復の両者に、治療成績に優位な差はなく、直接コンポジットレジン修復では歯質の削除量を減らす事が出来る為に、確実に充填出来るのであれば、直接コンポジットレジン修復が優先されるという事です。

 

次回は今回の結論についての根拠について述べさせて頂きます。