みなさんこんにちは、歯科医師の関です。
12月も終わりを迎え、今年も残すところあと少しですね。気温も低くなり体調を崩しやすい季節なので、体調管理に努め元気なまま新年を迎えたいものですね。
さて、今回のテーマは、『インプラントの危険因子と制限』についてです。
よくインプラントは、歯周病の状態が悪いと行うことができないのは知られていると思いますが、インプラントは骨に埋入する外科手術を行うため、全身的な健康状態などによって行うことができない場合があります。
以下にインプラント行うにあたる全身的な危険因子と制限を挙げていきたいと思います
⑴年齢
インプラントには年齢制限があり、成長発育中の子供には行うことができません。
顎骨の成長が終わっていないところにインプラントを埋入することで、顎骨の成長を妨げる原因になったり、インプラントの位置が思わしくない位置に変化してしまうリスクがあるためです。
男性であれば約20歳、女性であれば約18歳以降であれば顎骨の成長も終わるためそれ以降がよいでしょう。
逆に上限の年齢は基本的にありません。全身の健康状態がよく、骨の量が十分であれば高齢でも行うことはできます。
⑵喫煙
たばこに含まれるニコチンには血管収縮作用があり、これにより口腔粘膜は血流不足になり、粘膜や骨の治癒が遅れてしまいます。具体的にどのくらいの喫煙状況であれば問題あるかは議論の余地がありますが、喫煙者と非喫煙者で比較すると有意に喫煙者にインプラントの予後不良が多いことが報告されています。そのため、インプラントを希望する喫煙者は禁煙することが望ましいと言えます。
⑶金属アレルギー
現在、インプラントには金属であるチタンやチタン合金が使われています。チタン、チタン合金は生体親和性が高く金属アレルギーの頻度は非常に低いですが、稀にアレルギーを起こす人がいます。
特に他の金属に対してアレルギーがある人は、チタンにもアレルギーがないかをパッチテストや血液検査で調べておいたほうが良いでしょう。
⑷妊婦
一般的な歯科治療であれば、妊娠中でも安定している中期であれば治療を行うことはできますが、インプラント治療はできません。
インプラントでは、一般的なレントゲン写真撮影よりも被爆量の多いCT撮影を行う必要があり胎児への影響が心配されること、長時間仰向けで手術を行うことで低血圧症候群の危険性があること、手術による出血で早産を誘発する可能性があることなど様々なリスクがあります。
また、術後に服用する鎮痛薬や抗生剤も赤ちゃんには良くないため、妊娠中だけでなく授乳中もインプラントは控えたほうがいいでしょう。
インプラントの危険因子は他にもまだまだあります。次回の豆知識ではインプラントで注意が必要な全身疾患について述べていこうと思います。