みなさんこんにちは!歯科医師の高橋(寿)です。10月も終わりに近づき、朝晩はかなり冷え込むようになってきましたね。
日中との寒暖差も大きい時期ですので、体調を崩さないよう気をつけてお過ごしください。
さて今回は、
「歯がかなり痛かったけど、しばらくしたら痛くなくなった」
「痛みがなくなったから、そのままにしている」
そんな場合についてお話しします。
歯の強い痛みが自然に治まると、「治ったのかな?」と思ってしまう方も少なくありません。
しかし、実は痛みがなくなったからといって、歯の中の問題まで治っているとは限りません。
強い痛みのあとに痛くなくなるのはなぜ?
虫歯が進行して歯の神経まで達すると、強い痛みが出ることがあります。
冷たいものや温かいものがしみたり、何もしなくてもズキズキしたり、夜眠れないほど痛くなることもあります。
ところが、その状態をさらに放置すると、歯の中の神経が徐々に死んでしまい、一時的に痛みを感じなくなることがあります。
このため、
「痛みがなくなった=治った」
とは限らないのです。
むしろ、痛みを感じなくなったあとも、歯の内部では細菌感染が進んでいることがあります。
さらに放置するとどうなる?
神経が死んでしまった歯をそのままにしていると、歯の根の中で細菌が増殖し、やがて根の先に炎症を起こすことがあります。
すると、
・噛んだときに痛い
・歯が浮いたような感じがする
・歯ぐきが腫れる
・歯ぐきから膿が出る
・頬や顔が腫れる
といった症状が出てくることがあります。
さらに感染が強くなると、炎症が歯の周囲だけでなく、あごの下や首の周囲の組織まで広がり、「蜂窩織炎(ほうかしきえん)」という状態になることがあります。
特に、あごの下や舌の下など、のどに近い部分まで炎症が広がると、飲み込みにくさ(嚥下困難)が生じ、重症の場合には呼吸がしづらくなることもあります。
このような状態は緊急性が高く、速やかな医療機関での対応が必要になります。
頻繁に起こるものではありませんが、歯の感染を長期間放置すると、このように重症化する可能性があることは知っておいていただきたいポイントです。
痛みがなくても治療が必要なことがあります
歯の神経が死んでしまった場合には、歯の中に残った感染物質や細菌を除去する「根の治療」が必要になることがあります。
また、虫歯がかなり大きく進行している場合には、歯を残すことが難しくなり、抜歯が必要になることもあります。
早い段階で治療できれば比較的小さな治療で済んだ歯でも、放置する期間が長くなるほど治療が複雑になってしまうことがあります。
痛かった歯が急に治まったときこそ注意
「昨日までかなり痛かったのに、今日は全然痛くない」
このような場合、つい安心してしまいがちですが、歯の神経がすでに死んでしまっている可能性もあります。
もちろん、歯の痛みにはさまざまな原因がありますので、すべてが同じ経過をたどるわけではありません。
ただし、強い痛みが一度でも出た歯は、症状がなくなったあとでも一度歯科医院で確認してもらうことをおすすめします。
まとめ
歯の痛みは、症状がなくなったからといって治ったとは限りません。
気になる症状がある場合は、我慢せず早めに歯科医院を受診しましょう。
また、症状がないうちから定期的に歯科医院でチェックを受けることも、大切な歯を守るために重要です。