みなさん、こんにちは!
かさはら歯科医院、歯科医師の岩谷です。
朝夕の風に、少しずつ秋の気配を感じる季節となりましたが、いかがお過ごしでしょうか。
先日、根管治療後2年の経過観察で来院された患者さんがいました。
デンタルX線を撮影すると右下6の近心歯頚部から歯根にかけてX線透過像が認められました。症状は特に認められませんでした。
以下に、術前と2年後のX線画像とCT画像を示します。
Fig.1 術後2年X線画像
Fig.2 術後2年CT画像
1年後までの経過観察では特に異常は認められませんでしたが、1年から2年の間にこのような現象が起こってしまったと考えられます。根管治療はラバーダム防湿を用いて無菌的環境下で行い、根管治療後の歯冠補綴もマージンが合っており問題がないため、むし歯による影響とは異なるものであると考えられます。口腔内所見およびX線所見から侵襲性歯頚部外部吸収が疑われます。
本日は「侵襲性歯頚部外部吸収」についてお話しいたします。
侵襲性歯頚部外部吸収(Invasive Cervical Root Resorption: ICRR)は、歯と歯ぐきの境目(歯頚部)付近の外側から、歯が溶かされていく進行性の病態です。むし歯と間違われやすいですが、細菌感染によるむし歯とは異なり、原因がはっきり分かっていない疾患です。
ICRRの研究で有名なHeithersayの論文によると、ICRRは以下のようにClass1から4に分類されます。
Fig.3 ICRRの分類
Class1は吸収部位が境界明瞭で小さく、吸収部位が歯頚部に限局しており象牙質にしか及んでいない状態です。この状態での治療の成功率は100%と言われています。
Class2は吸収部位が境界明瞭でやや大きく、Class1同様、吸収部位が歯頚部に限局していますが、吸収の範囲が歯髄に近接している状態です。治療の成功率は100%です。
Class3は吸収部位が境界不明瞭で大きく、吸収の範囲が歯根の歯冠側3分の1に広がっている状態です。成功率は78%です。
Class4は吸収部位が大きく、吸収の範囲が歯根の歯冠側3分の1を超えて広がっている状態です。成功率は12.5%です。
今回のケースは、CT画像を見ると歯根の歯冠側3分の1を超えて吸収が広がっていることが確認できるためClass4であると考えられます。Class4では治療の成功率がガクンと下がるため、予後不良であることを念頭に、患者さんと相談して進めていきたいと考えています。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
根管治療でお悩みの際にお気軽にご相談ください。


