皆さまこんにちは。かさはら歯科医院の歯科医師、村上卓也です。
以前に歯周病の宿主因子である歯石についてお話ししました。今回は歯石以外にも宿主因子がいくつかありますので、それらについて説明しようと思います。
1.食片圧入
歯間部(歯と歯の間)に食べ物が詰まってしまう状態のことです。食片に細菌が増殖するとプラークという細菌の温床となり、垂直性骨吸収が生じて骨が溶かされる状態になります。歯周病となり骨がなくなると歯の支えがない状態となりグラグラ動いてきてしまいます。それにより更なる食片圧入の原因となり、症状が悪化してしまうのです。
食片圧入の原因は次のものが挙げられます。
・歯の動揺
・隣接面う蝕
・不良修復物
・接触点の位置、形態異常
・隣在歯との辺縁隆線の不正
・大きな歯間離解
・くさび状咬頭
2.口呼吸
口呼吸によりお口のなかの粘膜が乾燥して、唾液の中の自浄作用が低下します。プラークが付着しやすくなり、細菌に対する抵抗力と低下していきます。唇からかかる力がなくなるために上の歯が前の方向へ傾斜してくる原因にもなります。ますます口が閉じにくくなり、口呼吸を助長することとなります。
臨床症状
・口輪筋の弛緩、口唇閉鎖不全、嚥下時のオトガイ部のシワ形成
・上顎前歯前突、開咬、上顎歯列弓の狭窄などの歯列不正
・歯肉の腫脹、増殖(前歯部の乳頭歯肉に多い)
・テンションリッジ(堤状隆起)上顎口蓋側にみられる
・口呼吸線 前歯部唇側歯肉に見られる
・口唇、歯肉、粘膜の乾燥
3.不適合修復物・補綴装置
修復物(被せ物や詰め物)や補綴装置(入れ歯)のマージン部の適合が合っていないとその部分にプラークが付着します。また、歯頚部のコンポジットレジン修復のバリや研磨不良もプラーク付着の原因となります。
形態の不良による問題は隣接面であれば先ほど記載した食片圧入が生じやすくなります。修復物の豊隆が大きければ歯頚部に食片が停滞しプラーク付着の原因となり、小さければ食片が歯頚部歯肉にぶつかって物理的に歯肉を痛める原因となります。
4.歯列不正
歯並びが良くないと細かいところまで歯磨きができなかったり、唾液の自浄作用が働きにくかったりします。これもプラーク付着の要因となり歯周病のリスクとなります。
5.歯の形態異常
・根面溝
上顎の2番目の歯と4番目の歯に見られることがあり、溝ができているためプラークが付着しやすくなり歯周病の悪化に関与します。また歯ブラシの届きにくい形態をしているため清掃が困難です。
・エナメル突起
奥歯の根の間に向かってエナメル質が伸びている状態で、特に下顎の大臼歯によく見られます。エナメル質というのは歯の表面の構造であり、本来の根の構造とは違うので付着がしにくく、細菌の入り込む隙間となります。
今回は歯石以外の宿主因子について説明しました。ひと言で歯周病と言っても様々な要因がある病気なんですね。宿主因子以外にも細菌や環境因子などもあるので、どこかで話したいと思います。