こんにちは、歯科医師の齋藤(智)です。
前回から引き続き歯原性歯痛についてお話ししていきます。
3) 神経血管性頭痛による歯痛
脳血管の神経原性炎症によって生じる一次性頭痛を、その機序より「神経血管性頭痛」と総称します。「頭痛」は通常頭蓋の痛みですすが、「神経血管性頭痛」では口腔顔面部に痛みを生じさせるものが多く、これによって生じる「歯痛」を神経血管性頭痛による歯痛といいます。
日本人の片頭痛の有病率は6~8.4%であり、片頭痛発作はエストロゲン分泌量の変動と関連するため、月経のある女性に多いとされます。片頭痛では中等度から重度の拍動性の痛みが 4~72時間持続し、体動によって悪化するため日常生活に支障を来す事が多いです。
4) 上顎洞疾患による歯痛
上顎洞とは副鼻腔のひとつで、左右の上顎臼歯の上にある骨の中の空洞です。
もっとも頻度が高いものは、急性上顎洞炎による「歯痛」です。
上顎洞は上顎臼歯と解剖学的に近接しているため、急性上顎洞炎では上顎の小・大臼歯部に歯痛が生じます。
5) 心臓疾患による歯痛
虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)に代表される、心疾患の関連痛による「歯痛」をいいます。痛みは発作性に生じ、特に運動により歯痛が生じるといった、運動との相関関係が認められます。
6)精神疾患または心理社会的要因による歯痛
精神疾患のなかの身体表現性障害の場合、特に身体化障害や疼痛性障害で歯痛が生じます。また、統合失調症、うつ病において身体症状として歯痛が出現することも知られています。
7) 特発性歯痛
明らかな原疾患がはっきりしない歯痛があり、原因不明の痛み、といえます。歯原性歯痛ではなく、さらに非歯原性歯痛のどの分類にも明確に当てはまらない歯痛です。時間の経過によって症状が変化し、内容が明確になることもあります。
8)その他の様々な疾患による歯痛
血管炎、頸椎、新生物、迷走神経反応、薬物の副作用などのさまざまな原因で「歯痛」が引き起こされることがあります。
以上に述べましたように、多くの原因により「歯が原因でない痛み」が生じます。頭痛、心臓疾患、上顎洞疾患、精神疾患と関連する場合、それぞれの治療を担当する科が異なり、複数の医療機関の受診により加療に時間がかかることが多いです。