みなさん、こんにちは! かさはら歯科医院、歯科医師の岩谷です。
寒さも一段落し、日差しに春の訪れを感じる今日この頃ですがいかがお過ごしでしょうか。
最近、診療中に根管治療の成功率について説明すると興味をもって聞いてくれる患者さんが多くなったように感じております。自らインターネットで根管治療について調べて来院される患者さんが多く、マイクロスコープやラバーダム防湿をやって欲しいという要望を受けることが多くなりました。以前よりも根管治療について知識をもっている患者さんが多くなった印象があります。
本日は、根管治療の成功率についてのお話をいたします。
初回根管治療(イニシャルトリートメント)の成功率は、治療前に根っこの先に病気(根尖病変)がない場合で約90%、根尖病変がある場合はない場合と比べて10%ほど低く約80%と報告されています(※1)。
一方、再根管治療(リトリートメント)の成功率は、治療前の根尖病変の有無ともう一つ大事なパラメータがあります。
それは、『根管形態が維持されているかどうかです!』
2回目以降の根管治療では、根管内が前の治療で既に触られているため、本来の根管から逸脱してしまっているものや、根尖が大きく拡大されてしまっているものなど、根管形態が維持されていない状態の歯が多くあります。そういった歯の根管治療の難易度は高く、根管内に感染が残っていたり、根管充填をうまく行うことができず、治療成績が大きく下がってしまうことが考えられます。
根管形態が維持されている場合、根尖病変なしで約92%、根尖病変ありで約84%と報告されています。一方、根管形態が維持されていない場合、根尖病変なしで約84%、根尖病変ありで約40%にまで下がってしまうと報告されています(※2)。
再治療を含む根管治療が成功しない場合の最終手段として、外科的歯内療法(歯根端切除術・意図的再植)があります。
では、外科的歯内療法の成功率はどのくらいなのでしょうか?
マイクロスコープの使用や超音波チップによる歯軸に沿った逆根管形成、逆根管充填材にMTAやSuper EBAなどを使用したモダンテクニックでは約94%と報告されています(※3)。
以上のことから、最も成功率が低かった再根管治療で「根管形態維持なし」かつ「根尖病変あり」の成功率を40%、外科的歯内療法の成功率を便宜的に90%とし、100本の歯の根管治療について考えてみます。
まず、100本の再根管治療で治癒する歯は40本、治癒しない歯は60本、治癒しなかった60本のうち、外科的歯内療法で治癒する歯は54本となります。再根管治療で治癒した歯と外科的歯内療法で治癒した歯を合わせると94本が治癒することになります。
再根管治療、特に「根管形態が維持なし」かつ「根尖病変あり」のような難しい症例では、外科的歯内療法までしっかり行うことができる専門医に治療をしてもらった方が良いと思われます。
根管治療についてお悩みの方はぜひお気軽にご相談ください。
<参考文献>
※1 Marquis VL, Dao T, Farzaneh M, Abitbol S, Friedman S. J Endog 2006; 32(4): 299-306.
※2 Gorni FGM, Gagliani MM. J Endod 2004; 30(1): 1-4.
※3 Setzer FC, Shah SB, Kohli MR, Karbucak B, Kim S. J Endod 2010; 36(11): 1757-1765.
※4 ビジュアル歯内療法学 伊藤創平 著 インターアクション(株)