こんにちは。歯科医師の齋藤です。
今回は舌痛症についてお話しします。
舌痛症とは、舌や口腔内に明らかな器質的異常(炎症・腫瘍・感染など)が認められないにもかかわらず、灼熱感・ヒリヒリ感・痛みなどの自覚症状が慢性的に持続する病態を指します。
国際的には Burning Mouth Syndrome(BMS) と呼ばれ、神経障害性疼痛の一種として位置づけられています。
舌痛症には以下のような特徴があります。
① 痛みの性状
• ヒリヒリ、ピリピリ、焼けるような痛み
• 舌尖・舌縁に多いが、口蓋・口唇・歯肉に及ぶこともある
• 多くは両側性
② 日内変動
• 起床時は軽く、日中~夕方に増悪
• 睡眠中は症状が消失することが多い
③ 随伴症状
• 口腔乾燥感(ドライマウス)
• 味覚異常(苦味・金属味など)
• 不安、抑うつ、集中力低下
④疫学
• 中高年女性(特に閉経後)に多い
• 男女比は約 1:5〜7
• 有病率は一般人口の 1〜5%程度
治療(エビデンスに基づく)
① 薬物療法
• クロナゼパム(少量):局所含服または内服
• SNRI / SSRI(デュロキセチン等)
• 三環系抗うつ薬(アミトリプチリン)
• ガバペンチン / プレガバリン
• 漢方薬(加味逍遙散、柴胡加竜骨牡蛎湯など)
② 非薬物療法
• 認知行動療法(CBT)
• ストレスマネジメント
舌痛症は明確な原因が特定できないため、診断や治療が難しく、根気強い取り組みが求められます。治療には、十分な睡眠や健康的な食生活を心がけたり、疲れやストレスをためないようにしたりすることが、日常生活の中でできる対策です。
舌痛症と診断された方は、なかなか改善が見られなくとも、いずれ症状は落ち着くと信じ、焦らず安心して治療に取り組んでいただくことが大切です。