こんにちは。歯科医師の高橋(克)です。
本日は保険で行う白い詰め物(コンポジットレジン)について説明していきたいと思います。
Cr充填(コンポジットレジン充填)
歯が欠けてしまった所や、むし歯を取り除いた後などに、その空隙をコンポジットレジンという材料で充填し、光照射して固めていく治療です。
治療は施術する本数や時間によって違いますが、だいたい一回で終了します。
歯に対しての接着力は強く、セメント用に開発されたレジンは、接着性レジンセメントとしても多用されています。特に防湿時にレジンとレジンは強く接着する傾向があるようです。
ただあまり金属などの異素材との接着力は強くないので、前装冠の修理の時など金属の上からレジンを充填する時は将来的に欠けやすいので、注意が必要になります。
それと同様にジルコニアやセラミックの上からのレジン充填も欠けやすいと思われます。そうしなくてはならない場合は、おそらく一次的な修理か、仮詰め程度の強度だと考えていただくと良いかと思われます。
それと光で硬化させるので、光線があたりにくい場所だとちゃんと固まってくれませんから、材質が脆くなってしまいます。
水にも弱いので、唾液が入りやすい場所はしっかり防湿しながら処置を行います。
そしてCr充填の強度は、プラスチック製品より若干硬い程度だと思っていただけるとより理解しやすいと思われます。そう考えるとレジンより硬い食べ物が強い力であたれば、欠けてくる可能性があるので、今後注意が必要です。もともとの噛む力が強いと柔らかい食べ物でも欠けてくる可能性もあります。
他に欠けてくる原因としては、噛み合わせの問題や、Cr充填の経年劣化や、酸蝕症なども影響するようです。
さらに運動時や睡眠中のブラキシズム(食いしばりや歯ぎしり)が強いと、さらに欠ける確率が高くなります。
それとCr充填は柔軟性が高いため、温度変化などで膨張や収縮を起こしやすく、経年劣化しやすい材料なので、時間が経つと詰め物の周囲からの着色や素材自体の変色が起こってきやすくなります。
たまにセラミックと歯の隙間から着色が出てくることがありますが、おそらくそこも歯とセラミックの段差の影響の他に、レジン系のセメントを使用していることが影響しているのかもしれません。
奥歯(大臼歯部)のCr充填は高度な技術が必要で、特に隣接面の充填は隙間のきつさが緩くなったりしやすいので、それを術者が考慮してCADインレーやメタルインレーにすることも多いようです。