PEEK冠とは?

歯科助手の小山です。

今回はPEEK冠についてご説明いたします。

PEEK 冠の特徴について

非金属性の PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)を材料として CAD/CAM システムを用いて作製します。

ポリエーテルエーテルケトンは、軽量で熱や電離放射線に耐性があり、人の骨と同様の特性を備えているため、医療機器生産での使用に最適な材料です。

生体安全性が高い,高強度で破折リスクが少ない、成分の溶出量も少ないといった観点から医科分野では医療機器やカテーテル,体内インプラントなど生体埋入の実績のある材料なのです。

現在保険でできる白い被せものは CAD/CAM 冠ですが、保険のルールによっては適用が出来ないケースがあります。

そのようなケースでも、PEEK冠であればかなり耐久性のある材料のため条件なしで大臼歯(前から数えて6.7.8番目の歯)への使用が可能です。

ただデメリットとして光透過性を付与することが困難な材料であることから、PEEK 冠用 のブロックも、現行の CAD/CAM 冠に相当するような審美性がないのです。そのため破折リスクが少ないというメリットが生かせる大臼歯が適応症となっています。

 

PEEK冠はハイブリッドレジン(CAD/CAM冠など)より噛み合わせの歯がすり減りにくくまた,過度の咬む力に対して緩衝作用も期待できるという特徴もあります。

歯の根への負担が生理的範囲で歯の寿命に有利に働くことが期待できます。⾧期に使用 する場合は、すりへりなどは生じますが、被せる歯や噛み合わせの歯には有利に働くことが期待されます。

さらに吸水性が低く,変色のリスクも少なく,材料の劣化が小さいというのもメリットです。

ただ、やはりかなり目立つのがデメリット。。

なかには、銀歯よりも目立つと感じるドクターもいるようです。

見た目にはこだわらず、金属を使用せず、保険適用を希望される方にはおすすめできる材料です。

ちなみに、CAD/CAM冠と同じくPEEK 冠もCAD/CAMシステムを使用して作成していきます。CAD/CAMシステムについてもお話をします。

CADとはコンピューターによる設計支援、CAMはコンピューターによる製造支援という意味で、計測装置、設計装置、加工装置の3つから構成されています。

歯科技術におけるCAD/CAMとは、口腔内に装着するクラウンやインレーなどの補綴物をCADやCAMのシステムを用いて設計、作製する技術を指します。従来ほとんど全てを手作業で行ってきた工程にCADやCAMを組み込むことによって作業の効率化が図られるだけでなく、仕上がり具合のばらつきを防ぎ、さらには今まで利用できなかった素材も使えるようになるなど、技術革新が目覚しい分野です。

歯科用CAD/CAMシステムの仕組みは、大きく分けて以下の3つのステップに分かれます。

スキャニング:患者の口腔内や石膏模型にカメラやレーザーを当てて、三次元的な画像を取得

設計:スキャンデータをコンピューター上で表示し、デザインを行う

加工:設計したデータをもとに専用の機械で技工物の材料を削り出す、または3Dプリンターで造形

歯科技工にCAD/CAMを導入することにより技術習得にかかる時間を短縮することができ、経験の浅い歯科技工士が製作してもベテランと遜色ないクオリティの技工物ができるようになりました。そしていちどデザインしたものはデータとして保存、取り出しができるので、万が一製作途中で失敗があったり、技工物を紛失した場合でも、容易に同じものを再製作することができます。

近年歯科医療でも多用されるようになり、治療や技工作業の効率化だけでなく患者さんへのメリットも出てきています。

ご不明点があれば、お気軽にドクター・スタッフへお声がけください。