酸蝕症について

皆さん、こんにちは!歯科医師の山岸です!🦷

前回、歯の損耗(tooth wear)のうち、咬耗症、摩耗症について説明させていた

だきました。

そして、今回は酸蝕症について詳しく説明していきます!

酸蝕症(erosion)

酸蝕症とは、歯(歯質)が酸の作用により化学的に溶解され、歯の表面(表在

性)の欠け(欠損)を生じる疾患です。

酸蝕症は、作用する酸の由来によって外因性酸蝕症と内因性酸蝕症とに分けるこ

とができます。

外因性酸蝕症としては、工場等で使用される、または発生する塩酸、硝酸といっ

た強酸のガスや蒸気が原因となって働く方々の前歯の表面(前歯部唇側面)を侵

蝕することあります。

ですが、これは少し昔のことであり、職場環境の改善や事業所における歯科検診

によって現在ではほとんどみられなくなっています。

むしろ、近年では健康意識の高まりや食生活の変化とともに酸性飲食物の摂取を

原因とする酸蝕症が増加しています。

清涼飲料水やアルコール飲料等の酸性飲料、柑橘類や食酢、ドレッシングなどの

酸性食品 を習慣的に多量摂取することにより、年齢を問わず酸蝕による欠損が生

じてしまいます。

一方、内因性酸蝕症の原因としては、摂食障害(過食症、拒食症)による習慣的嘔

吐、逆流性食道炎等による胃酸の逆流があります。

酸蝕症の特徴としては、酸が作用する部位と欠け方(欠損形態)に特徴がありま

す。

まず、炭酸飲料等の酸性飲食物による酸蝕症の初期では、歯の表層(エナメル

質)に白色(白濁)を生じます。

さらに進行するとエナメル質が薄くなるため透明感が強くなり、一部に破折を認

めるようになります。

奥歯(臼歯部)では歯の頭の部分(咬頭)が溶けて丸みを帯び、さらに咬耗が加

わると噛み合わせ部分(咬合面)にクレーター状の欠損を生じるようになりま

す。

胃酸の逆流などによる内因性酸蝕症では、上前歯の裏側(上顎前歯部口蓋側)の

エナメル質が失われて滑沢な面を生じます。

しかし、高齢者や全身疾患を有する方の場合、唾液分泌量の減少に伴う緩衝能の

低下(pHが酸性となりやすくなる)や、摩耗や咬耗の進行を促進させることもあ

り原因の特定が難しいこともあります。

そのため、原因を特定するには患者さんの全身状態、酸性飲食物の摂取状況や口

腔習癖等についてしっかりと把握しておくことが必要となります。

以上、歯の酸蝕症(erosion)についてでした!

健康食品は健康のために良くても気を付けなくてはいけませんね。🦷

以前と比較して歯の形が変わったな、気になるなと感じた場合はお気軽にご相談

ください!