歯の構造について

こんにちは!歯科医師の山岸です!

今回は歯の構成について書いていこうと思います。

実は歯は複数の構成からなっています。

歯は硬組織であるエナメル質、象牙質、セメント質と軟組織である歯髄で構成さ

れていて、エナメル質は歯冠部の象牙質を覆い、セメント質は歯根部の象牙質の

表層を覆っています。

象牙質は細管構造を持ち、その細管内には歯髄の最外層に存在する象牙芽細胞か

らの突起が走行しており、象牙質・歯髄複合体として成り立ち、歯の痛みに関係

しています。

各構成について説明していきます。

○エナメル質

エナメル質はその約97%が無機質からなり、骨や象牙質に含まれるものと同じリ

ン酸カルシウム塩のハイドロキシアパタイト結晶を基本構造としており、生体の

中で最も高度に石灰化した組織です。有機質はわずかに1%含まれます。

○象牙質

歯の大部分を占めるのが象牙質であり、弾力性に富む強靭な硬組織です。

象牙質基質の約69%が無機質であり、その成分はハイドロキシアパタイトです。

有機質は約20%含まれ、その中でもⅠ型コラーゲンが主体となり、Ⅲ型とⅤ型コラ

ーゲンがわずかに含まれます。

○セメント質

セメント質は歯根を覆う薄い組織で、歯根膜、歯槽骨、歯肉と共に歯周組織を構

成しています。組成は約65%の無機質からなり、その成分はハイドロキシアパタ

イトです。

有機質は約23%含まれ、その中でもⅠ型コラーゲンが主体であり、非コラーゲン性

タンパク質もわずかに含まれます。

歯根膜に存在する主線維はコラーゲンを主成分としており、両端はセメント質と

歯槽骨に付着しています。このようにセメント質と歯槽骨に埋入した線維をシャ

ーピー線維といい、歯を歯槽骨に固定する役割を担っています。

○歯の強度について

歯質の硬さは無機質を中心に構成されるエナメル質が1番硬く、有機質を含む象牙

質ではエナメル質の1/5程度です。

ヌープ硬さという測定法では、エナメル質では300〜451ですが、象牙質では20〜

70と低いです。

エナメル質に類似する材料には陶材があり、硬度はエナメル質よりも高く約590

です。

圧縮強さはエナメル質で200〜442MPa、象牙質では300〜470MPaで、弾性係数

はエナメル質では47〜84GPa、象牙質では12〜19GPaです。

この数値から、エナメル質は象牙質に比較して硬く、弾性が低い性質をもち、強

い咬合力に対しては破折する傾向を示すが、内側に柔らかく弾性に富む象牙質が

存在することにより歯質の破折を防いでいると考えられます。

また、歯質は熱を伝えにくい不良導体であるが、エナメル質に比べて象牙質のほ

うが有機成分を多く含むため、熱膨張係数、熱伝導率は低いです。

以上のように歯は物性の異なる構造が重なることで硬く、割れにくいようにでき

ていることがわかります。また、その構造の違いから、場所によっては凍やすか

ったり、痛みが出やすかったりするのかもしれないですね。