被せ物の下にできたむし歯の治療

みなさん、こんにちは。かさはら歯科医院、歯科医師の岩谷です。
先日、歯と被せ物の間に段差ができてしまったので治して欲しいという患者さんが来院されました。お口の中を確認すると、下の奥歯に白い被せ物が入っていましたが、確かに段差が出来ていました。被せ物を入れた時点でそうだったのか、入れてから時間の経過で歯や被せ物が欠けてしまったのか分かりませんでしたが、マイクロスコープを用いてのお口の検査やエックス前者写真による検査の結果、歯と被せ物の間に隙間があり、そこからむし歯が広がっていることが分かりました。
被せ物を外してむし歯治療を行った後に新しい被せ物を入れる治療を行うことになりました。

治療の流れは以下の通りです。

①治療前の検査
②治療方針の決定
③古い被せ物の除去
④むし歯の治療
⑤新しい被せ物の治療

①治療前の検査
治療前にまずはお口の中の検査から行います。マイクロスコープを用いて、被せ物と歯の間に隙間がないかよく確認を行います。その後、風をかけたときの反応や歯をノックしたときの反応、割り箸を咬ませたときの反応、根っこの部分の歯茎を押したときの反応を確認します。また、歯に氷を当てたときの反応、先端が熱い器具を当てたときの反応、微弱な電気刺激を与えたときの反応を記録します。歯茎の検査として歯と歯茎の間の溝の深さを測り、出血や揺れがないかも確認します。
お口の中の検査が終わったら、今度はエックス線写真を撮影し、お口の中の検査結果と併せて診断を行います。
今回のケースは、むし歯が歯の内部の象牙質というところまで進んでいる状態であると診断しました。むし歯は、神経のお部屋と距離が近いですが、神経は正常に反応を示し根っこの周りに炎症も見られないことから、神経のお部屋の中の深い場所に細菌の感染は進んでいないと判断しました。

②治療方針の決定
まずは検査結果について詳しく説明を行い、むし歯治療についても説明を行います。以前のブログでも少しお話しをしましたが、むし歯が深いときにむし歯を取り除いていくと、神経のお部屋が見えてくることがあります。事前準備なしにこの処置を行うと神経のお部屋の中に唾液が入り神経に感染が起こり、根っこの病気になってしまうことがあります。なので、むし歯を取ると神経のお部屋に到達する可能性がある場合はラバーダムというゴムのシートでお口を覆って唾液が入らないような状態で治療を進める必要があります。そして、今回のケースでは、エックス線写真からむし歯を全て取り除くと神経のお部屋が見えてしまう可能性があるため、神経のお部屋が見えたとしても全てむし歯を取り切るか、それともむし歯が少し残ったとしても神経のお部屋が見えてこない部分までにとどめるか、2つの方法を検討しました。前者の場合、神経のお部屋が見えてしまったときには、神経のお部屋の中の出血の状態を考慮し、神経の中に感染が疑われないと判断した際はMTAという特殊なセメントを詰めて、その上にさらに別のセメントやプラスチックの詰め物を行い、神経のお部屋を完全に封鎖します。神経のお部屋が見えてこなかった場合や後者の場合は、プラスチックの詰め物を行います。
患者さんへ説明を行った結果、今回はむし歯を全て取り切る方法を選択されました。

少しお話しが長くなってしまったので、今回はここまでにします。
次回はこの続きの③古い被せ物の除去からお話しをいたします。