もしかしたらその癖、歯に影響を及ぼしているかも?

みなさん、こんにちは!
かさはら歯科医院、歯科医師の室月です。

今日は、子供の頃の癖の話です。

皆さんも、子供の頃にこんな癖があった!というのがあるのではないでしょうか。

寝るときに何か口元に持っていかないと落ち着かなかったり、考え事をするときに爪を噛んだりと思い当たる節がある方も少なくはないと思います。

そんな子供の頃の癖が、実は歯科に関わってくるのです。

今回は、どのような癖がどんな影響を及ぼすのか、またそれに対する対処法をお話しできればと思います。

 

お口周りの癖のことを、「口腔習癖(こうくうしゅうへき)」と言いますが、この口腔習癖のある子供は1歳6カ月の段階で45%ほどで、5歳頃になると27%と減少してくる傾向にあります。

またそれぞれの年代によって行われる口腔習癖も様々です。

 

①吸指癖(ゆびしゃぶり)

ゆびしゃぶりをしているお子さんは多く感じますが、実はゆびしゃぶりは今後の歯並びに大きく影響していきます。

ゆびしゃぶりをしている子は、していない子に比べて、いわゆる出っ歯である上顎前突や、上の前歯と下の前歯が噛み合わない開咬などが明らかに多いという、研究データがあります。

指だこができるほど、頻繁に指しゃぶりをしているお子さんは注意が必要です。

しかし、この吸指癖は精神的ストレスを解消するために有効と言われていることと、3歳頃までにやめることができれば、噛み合わせへの影響が少ないと言われています。

あまり低年齢の頃から、無理矢理やめさせるのではなく、年齢を見ながら対応していくことが必要となります。

逆に、4歳・5歳になっても指しゃぶりがやめられないというお子さんがいらっしゃったら是非ご相談ください。

 

②咬爪癖(つめかみ)

このつめかみに関しては、3歳頃から始まり、小学生頃になると増えてくる口腔習癖になります。

精神的な緊張が高まることが原因とされており、落ち着きのないお子さんや、神経質なお子さんに多いと言われています。

つめかみによる影響としては、いわゆる前歯の空きっ歯といわれる正中離開や、ガタガタな歯並びになる叢生などが挙げられます。

 

③咬唇癖(くちびるかみ)

咬唇癖は、主に下の唇を咬んだり、吸ったりする癖です。

下の唇を咬むことにより、それによって下の前歯が押されて後ろに倒れてしまい、上の前歯が前に出てしまうため、出っ歯(上顎前突)になることが多いです。

 

④歯ぎしり(ブラキシズム)

歯ぎしりは多くのお父さん、お母さんからご相談いただきます。

主に睡眠中や考え事をしている時、上下の歯を咬み合わせて、強く摩擦したり、咬みしめる口腔習癖です。

影響としては、歯の磨耗による咬み合わせの不安定化や、磨耗によって歯の神経が露出し、歯が染みてくることもあります。

原因としては、精神的な緊張が挙げられますが、その他にも歯の生えかわりによって、咬み合わせが不安定になり、咬む位置を探すために歯ぎしりが起こるとも言われています。

歯ぎしりによる歯のすり減りに関しては、経過観察をとることが多いですが、すり減りにより神経が露出し、症状が出る場合は治療が必要となってくるので、ご心配な方はご相談いただければ幸いです。

 

その他の癖として、ベロが前に出る舌突出癖や、ポカンと口が空く口呼吸などがありますが、そのお話はまた別に記事を書こうと思います。

 

さて、これらの癖への対処法としては、基本的にまず心理的アプローチを行っていきます。

言葉などで癖を制止するよう促すということです。

この際、伝え方にも工夫が必要で、

「この癖をやめなさい!」

と頭ごなしに注意するのではなく、

「指にはバイ菌が付いているから、舐めちゃうとお腹が痛い痛いなっちゃうよ。」

や、

「みんなの前でやっちゃうと、カッコ悪いって思われちゃうかもしれないよ。」

など、注意するというよりはやめるように促すことが大切です。

口腔習癖は、家庭環境や学校などの生活環境の変化におけるストレスの反映ととらえ、新しいストレスを与えることのないように、無理のない方法でやめさせることが非常に重要なのです。

それでも癖がやめられない場合は、ある程度の年齢の子の歯ぎしり対してはマウスピースを作ることがあったり、指しゃぶりの子に対しては指しゃぶりができないようにする装置も実はあります。

どうしてもやめられない癖がありましたら、遠慮なくお話いただければと思います。

誰しも癖の1つや2つはあります。

その癖が、もしかしたら歯に影響を及ぼしているかもしれません。

繰り返しになりますが、この癖大丈夫かな?と不安に感じることがあれば、気軽に相談していただければと思います。