口と歯の気になる症状(続編)

こんにちは。歯科医師の高橋(克)です。

本日は前回に引き続き補綴物(技工物)がセメントで接着する前に適合不良で再製作になる原因について、考えていきたいと思います。

原因のひとつとしてあげられるもの

模型の欠けや破損(模型の管理状況)について

印象を採得し石膏を流し終え、模型が硬化したあと、印象材から硬化した模型を慎重に取り外します。取り外した模型は余分な部分を除去し、欠けが生じないように紙や緩衝材にくるんで技工指示書と一緒に歯科医院内で保管します。その後それらは、歯科技工士さんの手に渡り技工所で加工が施され、補綴物の製作のため咬合器に付着されます。歯科医院で技工士さんが勤務されている場合を除いては、殆どのケースで専用の模型入れなどにくるんで技工物配送担当の責任者に委ねられ、技工所に配送されます。技工士さんが勤務していない歯科医院は、そこの歯科医院と契約している技工士さんたちが直接技工物を取りに来て、おのおのの技工所で補綴物た技工物を製作し、完成したものを歯科医院に卸すようになっています。

ここまでの流れで、石膏模型が技工所にわたるまで、様々な人の手に委ねられ、配送され、加工され、どこかのタイミングで模型の破損が起こってもおかしくないくらいの手順がふまれていることがお分かりのことでしょう。

ある意味常勤の技工士さんがいる歯科医院は、模型を技工所に送るために石膏を印象材から外したり、模型を緩衝材にくるんでまとめたり、配送の手配をすることなどのタイムロスが完全にではないですが(時に外部注文もあるため)、少し省かれますし、なにより配送時の破損のリスクは軽減されます。そして技工士さんにとっては、技工するにあたっての疑問点などがあれば、すぐ歯科医師に指示を受けられる面もあるので、その点は有利なのではないかと考えられます。

殆ど技工物を外部注文(外注)で賄っている歯科医院の場合、その歯科医院で勤務している誰かの手により、石膏模型を外した時点から技工物が完成されるまでの間に、いくつものタイミングで人の手が入る訳ですが、かなり厳しく管理されている場合は別ですが、技工所内で、技工士さん同士で役割分担されている場合などは、ひとつの模型をいろいろな人が、自由に取り扱う機会はあったりするのです。

ただ、それが悪いということでは決してないのです。例えば、役割分担をすることで、その役割を担う腕前がおのずと培われてくるので作業が早くなりますし、技術も確実なものとなっていくので、技工物としてはそれはそれでよい仕上がりのものが出来上がってくるのではないでしょうか。