電気的根管長測定器について

みなさん、こんにちは。かさはら歯科医院、歯科医師の岩谷です。

おだやかで過ごしやすい季節となりましたが、いかがお過ごしでしょうか。

 

先日、根の治療をしていた際に、患者さんから、「先生、ピッピッピッピー、という音が鳴っていたけど、あれは何の音なの?」と聞かれました。これは、”電気的根管長測定器”といって、根っこの治療の際、根っこの先端までの距離を測ることができる装置です。

今回は”電気的根管長測定器”についてお話しをいたします。

“電気的根管長測定器”ですが、実はこの装置、日本で開発されて世界に普及したすごい技術なんです。根っこの治療では、根っこの尖端より少し手前まで形作りと最終的なお薬を詰めた方が治りが良いと言われています。最終的なお薬が根っこの尖端より先に飛び出てしまうと痛みがないにもかかわらず常に炎症が起こってしまいます。”電気的根管長測定器”は、根っこの尖端の一番狭いところを正確に測定することができます。

 

根っこの尖端について少し説明を加えます。根っこの尖端は、解剖学的根尖(1)、根尖孔(2)、根尖最狭窄部(3)から構成されます。解剖学的根尖(1)から根尖孔(2)までの距離(4)は0.3から0.6mm、根尖孔(2)から根尖最狭窄部(3)までの距離(5)は0.5から0.8mmという報告があり、解剖学的根尖(1)より1から2mm短い位置まで形作りおよび最終的なお薬を入れると良いとされています。

“電気的根管長測定器”の第二世代の製品は、神経のお部屋が湿潤環境であったり、乾燥していると正しく読み取れないという問題がありましたが、その後開発されて登場した第三世代の製品ではその問題が改善されました。第三世代のルートZXという製品は、根尖孔(2)または根尖最狭窄部(3)から0.5mm以内の精度は90%、1mmが許容される場合はなんと100%の精度を示すと言われています。

“電気的根管長測定器”の他の用途として、歯根破折や亀裂、内部吸収、外部吸収など神経のお部屋と歯根膜の間が繋がっている状態を検知することができます。使用に伴う問題点としては、正常歯髄組織、炎症性滲出液、血液、金属修復物、う蝕、唾液、複根管などは電流を伝わり不正確な読み取りを引き起こす可能性があります。

今回は少し専門的なお話しになりましたが、みなさんが根の治療を行う際は、どんな”電気的根管長測定器”が使われているか注目してみてください。

ここまで読んでいただきありがとうございました。