みなさん、こんにちは。歯科医師の岩谷です。
蒸し暑い日が続きますが、いかがお過ごしでしょうか。
親知らずに大きな虫歯ができたときや、歯周病によって歯がグラグラして痛みが生じたとき、歯が真っ二つに割れていたときなど、歯科治療において抜歯をせざるを得ない状況が起こることがあります。
本日は、抜歯した後の傷の治り方について説明します。
抜歯をして時間が経つと、歯が植わっていた穴は自然に塞がり、何事もなかったかのように歯茎はきれいに治ってしまいます。抜歯後の傷の治り方についてもう少し詳しくみていくと以下のようになります。
(1)抜歯当日
抜歯してできた穴に血が溜まってかさぶた(血餅)ができる。
(2)3から4日
歯茎の再生が始まる(上皮化)。
(3)1週間
血餅が肉芽組織に変化する。
(4)3週間から1ヶ月
肉芽組織が結合組織に変化し、骨が再生し始める。
(5)1ヶ月から1ヶ月半
抜歯してできた穴が歯茎で覆われる。
(6)半年から1年
歯茎の穴が完全に埋まる。
抜歯をして完全に傷が癒えるまでは、半年から1年程かかりますが、抜歯をして1ヶ月もすると歯茎は再生し表面上はだいぶ回復します。傷が治っていく様子をみていると人の体は本当に良くできているなと驚かされます。
ここまで傷の治り方についてみていきましたが、傷が治らず痛みが続いてしまう場合があります。通常、抜歯をした後の穴に血が溜まってかさぶたができますが、うがいを一生懸命した場合など、血が抜歯した穴に溜まらなかった場合、抜歯した穴の骨がむき出しになり、そこに細菌感染が起きるとズキズキと強い痛みが生じる場合があります。これをドライソケットといいます。ドライソケットになった場合は、抜歯した穴を良く消毒し清潔な状態に保つと同時に、抗生物質を服用し細菌の数を減少させるような処置を行います。抜歯の後の注意事項でうがいをしすぎないように説明するのは、こういう理由からなのです。