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歯科と糖尿病 その1

みなさん、こんにちは。歯科医師の伊勢円です。

 

今回から、自分自身の勉強も兼ねて、糖尿病について知識を深めていきたいと思います。

 

20186月にアムステルダムで開催されたEuroPerio9において、欧州歯周病学会と米国歯周病学会は新しい歯周炎分類を発表しました。その中で、患者さんの歯周炎はこれから良くなっていくのかそれとも悪くなっていくのか、予後を判断する基準のひとつに全身のリスク因子として「糖尿病」が明記されました。

 

欧米の専門医たちが全身疾患に着目するようになった理由のひとつに、Jeffcoat2014年に発表した研究があります。

 

慢性疾患患者(2型糖尿病、冠動脈疾患、脳血管疾患、関節リウマチ)の年間あたりの医療費と入院回数、妊婦のハイリスク管理と偶発症対処に関する追加医療費の関係についての研究です。慢性疾患患者のうち、1年あたり歯科を13回受診した低頻度群と年4回以上受診した高頻度群にグループ化して比較してみると、総医療費は2型糖尿病で40%、脳血管疾患で41%、冠動脈疾患で11%有意に低値であり、入院回数は2型糖尿病で39%、脳血管疾患で21%、冠動脈疾患で29%有意に少ないという結果が得られました。(関節リウマチでは有意差なし)

 

つまり、年4回以上の歯科への通院で、入院費用と入院回数が大幅に少なくなるということが分かったのです。

 

糖尿病は代表的な慢性疾患です。日本糖尿病学会が発行する糖尿病治療ガイドにこんな一節があります。

 

「糖尿病は治癒する病気ではないので、決して通院を中断しないよう指導する。」

 

糖尿病は不治の病であり、生涯にわたって通院しなければならないと強く書かれているのです。

 

一方、歯肉疾患は歯肉炎の段階であれば健康な状態に戻ることはできますが、歯周炎を発症し歯周組織が破壊されてしまうと歯肉炎に戻ることはありません。糖尿病と同じく歯周病もまた不治の病であるのです。

 

歯周炎は歯周治療により炎症がなくなって安定状態となりますが、再び炎症が出てしまうと歯肉炎症に移行、さらに歯周炎まで拡大すると再発となります。日本において高齢者はこの歯周炎の再発を繰り返し、歯を失い続けているのが現状です。

 

慢性的な炎症がじわじわ続くと何が起きるでしょうか。

 

2015年に慶應義塾大学病院百寿総合研究センターから発表された研究で、長寿に影響を与える因子の解析が行われました。因子の候補として造血、炎症、脂質と代謝、肝機能、腎機能、細胞老化、免疫老化の7つが挙げられました。これらのうち、統計学的に有意差が認められたのは炎症のみでした。つまり、炎症が超高齢者と百寿者の予後を短くすることが分かったのです。

 

次回へ続く

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