正しい咬み合わせとは?

みなさん、こんにちは。歯科医師、関です。

7月に入り、プラスチックレジ袋の有料化がはじまりましたね。僕も今まで、コンビニやスーパーで買い物をした時に、何も疑問に思わずレジ袋をもらっていました。そして、毎回そのままゴミとして捨てていました。今回の有料化により、今までとてももったいないことをしていたと気づきました。今回のレジ袋に限らず、あらゆるもので資源の無駄遣いをしているのではないかと感じます。自分のことだけでなく、社会や環境のことを考え行動できるようになりたいものです。

 

 

さて、今回も豆知識のテーマは『咬合』についてです。

前回、理想とする顎の位置と咬み合わせの要件をご紹介しました。以下の9つです。

①顎関節において関節窩・関節円板・顆頭の位置関係と形態が正常である

②安定した咬頭嵌合位である

③バランスの取れた適切な咬合平面である

④適切なスピーの湾曲、ウィルソンの湾曲がある

⑤歯列形態が左右対称のU字形で連続性がある

⑥舌房が許容されるために十分な咬合高径である

⑦顆路角と連動するような咬頭傾斜角と展開角をもった咬合面形態である

⑧左右側方運動において同じような咬合様式をとる

⑨自由度のある前方・側方の誘導要素

 

今回は、これらの要件を少し詳しく解説したいと思います。

 

①顎関節において関節窩・関節円板・顆頭の位置関係と形態が正常である

顎関節は下あごの骨である下顎骨にある下顎頭(顆頭)と呼ばれる出っ張りと、頭蓋骨の一部である側頭骨の下顎窩と呼ばれるくぼみからなります。

下顎頭は口を閉じている間は下顎窩におさまり、口を開けるときは下顎窩の前方に位置する関節結節と呼ばれる出っ張りに沿って回転しながら前下方に滑走します。指で触って動く出っ張りが下顎頭です。口を開けることによって前下方に滑走しているのが分かると思います。

顎関節を構成するのは下顎頭、下顎窩だけではなく、他に、関節円板、関節包、靭帯などの骨以外の組織ももちろん構成要素としてあります。

関節円板は、下顎頭を覆うように下顎頭と下顎窩の間に位置する密な線維性の組織です。内部に血管や神経はほとんど見られない特徴を持ちます。円板の形態は、中央部が薄く周囲が厚くなっており、下顎頭が安定するようになっています。関節円板は、前方が外側翼突筋、後方が後部結合組織と繋がっており前後的に可動ができるようになっています。これにより、開閉口で動く下顎頭と共に動き、クッションように圧力を分散する欲割を担います。

これらの関節窩・顆頭の形態が変形したり、関節円板の位置関係がズレてしまうと顎関節症といい、正常な咀嚼運動がしづらくなります。

 

②安定した咬頭嵌合位である

咬頭嵌合位とは、咬み合わせの種類の1つです。

奥歯の咬み合わせの面は凸凹した形をしており、この隆起の部分を咬頭、溝の部分を裂溝といいます。上の歯と下の歯の奥歯が咬み合うとき、上の歯の咬頭が下の歯の裂溝、下の歯の咬頭が上の歯の裂溝にそれぞれ咬み合うのが理想です。咬頭嵌合位とは、このように上下の歯がガチっと緊密に嵌合し、最大面積で接している咬み合わせのことです。最大面積で接触する咬頭嵌合位が、カチカチと何回も咬んだ時に、ズレがなく毎回同じ位置で安定して咬むことができると、効率よく食べ物を咀嚼・粉砕することができます。

 

今回は、以上までです。次回以降も続きを解説していきたいと思います。