永久歯が生えてこない

みなさん、こんにちは。歯科医師の伊勢です。最近はパッとしない天気が続いていますね。雨が降ったり湿度が高いと、朝に前髪をいい具合にセットしても職場に着く頃にはすっかりペタンコになってしまいます。なにか良い方法はないでしょうか…😔

さて、今回は永久歯の先天欠如についてです。よくお子さんの検診で、乳歯が抜けない、永久歯がなかなか生えてこないと心配されてるのをよく耳にします。その場合、お子さんの年齢やお口の状態を考慮し、レントゲン写真を撮影して詳しくお調べすることがあります。特に問題がないお子さんもいれば、中には永久歯が先天的に欠如しているお子さんもいらっしゃいます。

永久歯の先欠は臨床的にはめずらしいものではありません。妊娠中の生活や環境の影響による病的なものではなく、ある種の個性と捉えることができます。

後続永久歯が先欠している場合、一般にその乳歯はすぐには抜けません。その乳歯が何十年ともつケースもあります。

先欠の頻度が高い下の前歯や上の小臼歯1本程度の欠如では、乳歯を抜歯するだけできれいな歯ならびになる場合もありますし、また矯正治療を併用することでより良い歯ならびになる可能性もあります。
もちろん、乳歯を残してできる限り長く使うことも可能です。その場合は乳歯をむし歯にさせない(進行させない)ことが重要です。

ただし、欠如している本数が多い場合は、人工の歯を入れて補う補綴処置が必要になることもあります。

一つ目はブリッジです。両隣の歯を削って橋渡しするように人工の歯と両隣の歯を繋げる方法です。保険ですることができますが、両隣の歯をかなり削らないといけません。

二つ目はインプラントです。顎の骨に人工の土台を植え込み、その上に人工の歯を被せる方法です。両隣の歯を削る必要がないのはメリットではありますが、保険ですることができないので費用がかかってしまいます。

三つ目は入れ歯です。取り外しが可能で、保険でできるオーソドックスな方法です。ですが、若いうちに入れ歯をいれるのは少し抵抗がありますね。

また、乳歯を残した場合に大人になって乳歯が抜けた後補綴をしないで放置してしまうと、不具合が生じてしまいます。それは歯ならびが悪くなったり、隣の歯が倒れて噛み合わせが悪くなったりと様々です。

永久歯がなくても、上記のようにいろいろな方法で解決できるとわかっていただけたかと思います。

とは言え、できれば今ある歯(乳歯)は抜きたくない…と考える方も多いと思います。その場合は、先ほどもお伝えしたようにむし歯にならないように気をつける必要があります。
乳歯では、むし歯が進行して神経までいってしまうと、急速に歯根が吸収されて脱落してしまうことが多いです。乳歯を長持ちさせるにも、放置するのではなく、定期的に歯科医院を受診して、経過を観察したほうが良いでしょう。