着色と初期むし歯

みなさん、こんにちは。歯科医師の伊勢です。

 

ようやく宮城県では緊急事態宣言が解除されましたね。商業施設も再開し、ショッピングや外食をしたいな〜とは思っているのですが、人混みが怖くてなかなか外出できません😢

 

さて、今回は着色と初期むし歯についてです。

 

歯が茶色くなると、むし歯かもしれない!と慌ててしまうことがあるかと思います。実は、食べ物や飲み物が原因で歯が着色することがあります。例を挙げると、コーヒー、紅茶、ワイン、カレーなどです。これらを日常的に口にしていると、着色してしまうことがあるのです。

 

一方、着色が初期のむし歯であることももちろんあります。その場合、ケアを徹底することが大切です。

 

以前は、むし歯は治らないから見つけたらすぐ治療したほうが良いと言われていましたが、最近では、初期むし歯は進行が速いものと遅いものがあり、遅いものはケアすることで進行を止めたり、再石灰化することができるということがわかってきています。(むし歯の進行速度は唾液の状態、フッ化物の使用状況、食生活、生活習慣、部位などによって変わります。)

 

むし歯を治療すると、一時的には進行を止めることができますが、治療する時間と金銭がかかりますし、二次う蝕になる可能性があります。二次う蝕になった場合は、さらに歯を大きく削る必要があります。反対に、治療しなかった場合は、予防に時間と金銭はかかってしまいますが、治療による苦痛はなく、二次う蝕を避けることができます。

 

むし歯は脱灰と再石灰化のプロセスといわれており、そのバランスが崩れ、脱灰に傾けば初期むし歯、さらに進むと治療が必要なむし歯となります。歯の表面は刻々と変化しているのです。

 

COという検診結果を聞いたことがあるでしょうか?CariesObservationの頭文字をとったものです。つまり、むし歯を観察するということです。

 

治療しなくてすむようにするには、予防と経過観察が必要なのです。

 

ここで注意していただきたいのは、経過観察は放置とは違うということです。初期とはいえ、歯の脱灰は始まっています。定期的に進行していないか確認し、歯磨きの仕方やフッ化物の使い方などの指導を受けることが重要です。経過観察をしていて進行しているようなら治療が必要となりますが、その時点で手遅れになる可能性は少ないかと思います。

 

歯医者さんはむし歯の治療をするだけでなく、むし歯の進行を止めるところでもあるのです。