みなさん、こんにちは。歯科医師、関です。
5月ももうすぐ終わりを迎え、暖かい日が多くなりました。全国で緊急事態宣言が解除されて、気が緩みがちですが、マスク・手洗い・うがいの徹底を続けていきましょう。
さて、今回も歯周外科治療についてお話ししていこうと思います。
※当院では、積極的な歯周外科治療は行っていませんが、口腔内の状態によって歯周外科治療を検討しています。
重度~中等度の歯周病になってしまったら、外科を行わない基本的な歯周治療では治りが不十分な場合が多くあります。
その場合に、歯茎の切開を伴う歯周外科治療を検討します。
歯周外科治療の目的と目標として以下が挙げられます。
①直視下での歯根の清掃・デブライドメント
②感染を引き起こすプラーク付着を増加させる部位の除去
③炎症の除去
④病変が生じた組織の除去
⑤歯周組織の再生の促進
⑥周囲組織の辺縁部の生理的形態・構造の形成
⑦歯周組織の審美性の改善
⑤~⑦は特殊な歯周外科方法なため、歯周外科において基本的な①~④を説明していきます。
①直視下での歯根の清掃・デブライドメント
歯周病が進行していくと、歯を支える歯槽骨という骨や、歯と骨とをつなげる付着が破壊されていきます。
これにより、歯と歯茎の間には歯周ポケットと呼ばれる深い溝ができます。歯周ポケットの中に汚れが溜まると歯周病はさらに進行していくため、歯周治療では、歯周ポケットの中の汚れを取っていきます。
しかし、基本的な非外科の治療では、歯周ポケットの深いところや複雑な形のところは器具が届かず、歯茎の中なので見えない中手探りで操作します。
歯周外科では、歯茎を切って開くため、汚れを直接見て清掃でき、複雑な形態や深いところにも届きます。
②感染を引き起こすプラーク付着を増加させる部位の除去
汚れであるプラークがよく付いてしまう要因をプラークリテンションファクタ-といいますが、元々の歯の形がプラークの付きやすい異常構造なことがあります。
歯周外科では、プラークリテンションファクタ-となっている歯の形の形態修正も行います。形態修正は、歯周外科を行う前の初期治療でも行いますが、異常構造が歯茎の下にある場合は、歯周外科時にも行います。
また、歯周病により破壊されガタガタになった骨を削って整えることもあります。ガタガタのまま歯茎を閉じると歯茎の形も骨に沿ってガタガタに治り、汚れが磨きづらくなるためです。
③炎症の除去
歯根の周りに付いた汚れだけでなく、歯周病によりできてしまった不良な炎症組織も除去します。
不良な炎症組織が残っていると治癒が悪くなります。また、根面を磨き、滑沢にすることで炎症の原因である汚れが付きづらくします。
④病変が生じた組織の除去
歯周病によってブヨブヨになった歯茎を除去することで、歯周ポケットを除去することも歯周外科ではあります。
歯茎を除去するため、歯茎の位置は下がりますが、汚れの清掃ができない歯周ポケットを減らすことで磨きやすくなります。
以上、歯周外科治療の目的と目標でした。
※当院では、積極的な歯周外科治療は行っていませんが、口腔内の状態によって歯周外科治療を検討しています。