顎関節症のセルフケアについて

 こんにちは。

歯科医師の角田です。

 2月も終わり、少しずつ暖かい日々が多くなってきました。同時に花粉も随分と多くなって来て…花粉症の自分には、マスクと薬が手放せない日々が続いています。色々と叫ばれている今ですが、皆様体調の自己管理に気を付けて、日々を過ごして頂ければと思います。

 本日の歯の豆知識では、顎関節症へのセルフケアについてまとめさせて頂きます。

 セルフケアと一口に言ってしまっても、その種類は多くあります。筋肉へのマッサージや、徒手による開口訓練、長時間の咀嚼の制限などが挙げられますが、今回はその中でも咀嚼筋への温罨法について重点的に述べさせて頂きます。

 温罨法とは、筋肉を温めて血管を拡張させて、血流を良くする事で、筋肉の緊張を緩和させるセルフケアの事です。顎関節症は顎の関節の病気であり、顎を開け閉めする際の筋肉は関係ないと思われるかもしれませんが、実は顎関節症の原因の一つに咀嚼筋の緊張や炎症といった状態が関わる事があります。

 咬筋や側頭筋に強い緊張がかかってしまうと、口が開けにくくなる事があります。この場合に、温めたタオルを緊張している筋肉の部位に当てる事で、筋肉の緊張を緩和させる効果を期待します。温めたタオルを該当部位に5分~10分、冷めたタオルを温め直して再度当てて、合計で30分程度行う事で効果が期待できるとされています。

 ただ、温罨法にも注意は必要です。温罨法をやってはいけない場合として、何もしなくても常に痛みが起きている様な、急性的な炎症が起きている時が挙げられます。その際に温罨法を行ってしまうと、逆に痛みが強くなる事も考えられます。その際には温罨法とは逆に、冷たいタオルなどを患部に当てて炎症を抑える必要があります。

 また、咀嚼筋と言っても咬筋、側頭筋など多くの筋肉があり、その走行する部位も異なるために、顎関節症を起こしている筋肉を特定し、その部分にピンポイントで温める必要があります。温罨法を行うにも、歯科医師の診断を受けた上で行う方が望ましいですね。

 以上、顎関節症におけるセルフケア、温罨法についてまとめさせて頂きました。

 上記の理由から、あまり患者さん自身の診断、判断の下で温罨法を行う事はあまりお勧め出来ません。顎が開けにくい、顎の筋肉が重苦しいなどの症状がありましたら、一度歯科医院に来て頂いて歯科医師の診断を受けた方が望ましいです。何かありましたら、気軽に相談して頂ければと思います。