セルフケアのあれこれ

みなさん、こんにちは。歯科医師、関です。

今年は暖冬で、1年で1番寒いとされる2月でも、仙台の厳しい寒さをあまり感じないですね。寒いのは苦手なので大変ありがたいです。

 

さて、今回も前回と引き続き、おうちでの歯磨き、セルフケアについてお伝えしていきたいと思います。

 

○歯ブラシでどこまで磨ける?

その人のお口の中の状況や、磨き方などによると思いますが、一般的に歯ブラシだけでは、全体の6割くらいしか磨けていないと言われています。

歯ブラシは、歯の表面や咬み合わせの溝を磨くのには適していますが、歯と歯の間はほとんど磨けません。虫歯や歯周病の予防として歯と歯の間のケアはとても重要です。歯と歯の間は、デンタルフロスや歯間ブラシを必ず使用する必要があります。

歯と歯の間に隙間がない人はフロスのみ、隙間がある人は歯間ブラシのみ、または両方を使うとよいでしょう。

初めて使う人は、慣れないと難しいと思うのでゆっくり練習して、毎日使うように習慣にしましょう

 

○歯周ポケットの中は磨ける?

歯と歯茎の間には正常でも1~3mmほどの深さの隙間があるとされていますが、歯周病が進行し歯茎の腫れ、骨の破壊などが起こると、この深さはどんどん深くなっていき歯周ポケットといいます。汚れは当然歯周ポケットの中にも溜まるのですが、その中まで磨くことはできるのでしょうか?

どこまで磨けるか調べた研究によると、歯ブラシが0.6~1.5mm、歯間ブラシが2~2.5mm、フロスが2~3.5mmまで届くみたいです。

多少中まで磨けるようですが、中等度の歯周ポケットが4~6mm、重度が7mm以上と考えると深いポケットの中はほとんど汚れを取れないことが分かります。

ただし、歯周ポケットの中の細菌が繁殖するためには、歯茎より上の汚れが溜まっている方が好条件のため、歯周病の治療・予防において、ご自身で磨ける範囲をしっかり磨くことは極めて重要です。

 

○歯周病にうがい薬って効果あるの?

歯周病の補助薬・予防薬として含嗽剤が商品としてありますが、どの程度効果があるのでしょうか?

含嗽剤として様々な制菌・消毒作用の成分が存在しますが、クロルヘキシジンという成分が、歯周病に対する含嗽として最も顕著に効果的です。

しかし、残念ながら日本においては効果の大きい高濃度のクロルヘキシジンの使用が禁止されており、日本で使える低濃度のものは他の含嗽剤と大差ありません。また、その他の成分の含嗽剤もその中に大差はないとされています。

ただし、いかなる含嗽剤も正しいブラッシングの後に追加で行うことで、一定の歯周病治療の補助、歯周病の予防の効果はあるようです。

注意しなければならないのは、含嗽をしただけでは効果は薄く、ブラッシングとともに使用することで意味があるということです。

 

以上、今回もおうちでのセルフケアについてのお話しでした。役立った内容はあったでしょうか?