みなさん、こんにちは✨歯科衛生士の田口です(^^)
わたしたち歯科医院では日々、安全に歯科治療を行うために、
問診を行い、現病歴や服用薬の確認をした上で診療を進めております。
お薬をお飲みの方は、お薬手帳のコピーを取らせていただきますが、
今回は、その中でも「骨粗鬆症のお薬」についてお話ししたいと思います。
「骨粗鬆症のお薬を服用して、抜歯を行うと、顎の骨が壊死する」
という話を聞いたことはありますか??
骨粗鬆症とは、
骨量、骨の構造が減少し骨折の危険度が高まる疾患。
内科医や整形外科医から骨折予防のため、ビスフォスフォネート製剤が処方されます。
通常の虫歯治療では影響はありませんが、
抜歯やインプラント手術、歯周病関連の手術を行う際に注意が必要です。
歯を抜いた後の抜歯窩が治癒せずに骨がむき出しの状態のままで感染し、腐骨という状態になります。
顎骨壊死…
正確には骨吸収薬関連顎骨壊死と言うそうです。(骨吸収を抑制する薬剤に関連して生じる顎骨壊死)
具体的に「骨吸収を抑制する薬剤」とは、
骨粗鬆症に対してしばしば処方されるビスフォスフォネート製剤とデノスマブの2製剤について。
《商品名》
・フォサマック
・アクトネル
・ベネット
・リカルボン
・ボノテオ
・ボンビバ
・リクラスト
・プラリア・アバスチン
など
また、同じ骨粗鬆症の薬剤でも、ビタミンD製剤やエストロゲン製剤では、
顎骨壊死は起こらないと言われております。
そして中でも注意が必要なのは、
内服ではなく、点滴をしている場合です。
では、
ビスフォスフォネート製剤を服用していると必ず顎骨壊死が起こるのでしょうか?
ビスフォスフォネート製剤を服用しても必ず顎骨壊死を発症する訳では無いとの事。
いくつかの報告によると、
経口のビスフォスフォネート製剤であれば10万人あたり1人(年)程度と言われています。
ただし、ビスフォスフォネートは長期を渡るとそれだけ骨に沈着するため、服用が長期に及べば、顎骨壊死のリスクも徐々に上昇します。
四年以上服用している方は、特に注意が必要かもしれません。
また、悪性腫瘍の骨転移に対して使用した場合の顎骨壊死の発生率は100倍程度上昇すると言われておりますので、
合わせて注意が必要です。
顎骨壊死の発症・増悪因子には、
癌・高齢・人工透析・関節リウマチの合併・ステロイド製剤の使用・口腔内衛生環境の悪化、などがありそうです。
しかしなぜ、顎骨だけに壊死が起こるのでしょうか⁉️
ビスフォスフォネート製剤やデノスマブは、全身の骨に分布するのに、なぜ顎骨にだけ影響が出るのでしょうか??
・口腔内細菌の存在
・全身の中で新陳代謝がもっとも早い組織の顎骨が、ビスフォスフォネート製剤が高濃度に沈着しやすいため
・顎骨は、咬合という負荷がかかる場所であるから
このような理由から、
口腔内環境において発症の増悪因子として考えられているようです。
さらに難しい点が一つ…🙄
一度骨に沈着したビスフォスフォネート製剤が半減するには、2年程度かかるとのこと。
例えば抜歯のために、
容易にビスフォスフォネート製剤を休薬すれば良いと言うことではなく、休薬した際の骨折リスクと比べる必要がありそうです。
まずは薬の種類や、試用期間なども踏まえ、ご相談ください。
抜歯や外科処置の必要性も診断、検討の上、判断いたします。
いま一度、
ご自身のお薬手帳をご確認ください。
また、骨粗鬆症のお薬に関わらず、
体調やお薬の変更がある場合は、お伝えくださいね^_^