妊娠されている方へのレントゲン撮影について

こんにちは。
歯科医師の角田です。
本日は妊娠をされている方へのレントゲン撮影について話させて頂きます。

歯科治療において、レントゲン撮影は欠かす事は出来ません。歯や歯周病といった、一般的な歯科治療においてもレントゲン写真は診断の根拠とする為、そして治療の指針を立てる為に必要不可欠となっています。その為に当院では、初診の方にはほぼ必ずレントゲン写真を撮る様にしています。

その際に、妊娠をされている方、妊娠をしている可能性がある方からよく聞かれる質問があります。それは「レントゲン撮影は、お腹の赤ちゃんに影響はないのでしょうか?」といったものです。
レントゲン撮影にはX線を使用します。そしてX線は放射線の一種であり、その影響として奇形、発育異常や精神発達遅滞が起こり得る事は、今では広く知られる話となりました。その為に、歯科のレントゲン撮影でお腹の赤ちゃんに何か影響があるのでは…と心配される事はごく自然な事であり、当然の不安であると思います。

まず結論から述べさせて頂きますが、歯科診療で撮影される範囲のレントゲンでは、ほとんど胎児には問題ないとされています。

先に挙げた奇形、発育異常といった放射線の影響は、高線量、高線量率被爆によるものです。その影響は、直接下腹部に当たる放射線量が100mGyを超える事によって起こるとされています。
しかし歯科の範囲のレントゲン撮影は照射域が顔面の範囲に限定され、尚且つ線量も低く設定されています。具体的な線量ですが、パノラマ写真と呼ばれる顎全体の写真は一枚あたり0.04mGy、デンタル写真と呼ばれる小さなフィルムでの写真は一枚あたり0.02mGyとなっています。先に述べた胎児に影響が出る100mGyと比較しますと、極小さな値である事が解ります。ですので、妊娠している方も、またはその可能性がある方も、安心してレントゲン撮影による検査を受けて頂ければと思います。