貧血②

こんにちは歯科医師の山岸です。🦷
今回は鉄欠乏性貧血についてもう少し詳しく書いていきます。

まず、鉄欠乏性貧血では、体内の鉄の貯蔵量が減少し不足することで、骨髄での赤血球生産が徐々に低下し、さらに貯蔵された鉄分がなくなり、赤血球の数が減少するだけでなく、大きさも小さくなります。

このように鉄欠乏性貧血は、血清鉄不足やヘモグロビンの合成障害(赤血球数の減少)の場合に生じることがあり、貧血の原因として特に多いものの1つです。

また、体内の鉄分がなくなるのには数カ月かかるため、鉄欠乏性貧血はゆっくりと進行することが多く、若年~中年女性によくみられます。

鉄が欠乏する原因
・鉄の喪失:月経、妊婦、子宮筋腫、子宮内膜症、消化管出血
 ※成人の場合、鉄欠乏になる最も一般的な原因は消化管からの失血です。

・鉄の摂取不足:偏食など
 ※鉄の必要量が増える時期である乳児や幼児、青年期の女子、妊婦などの場合、食事で鉄分を十分
  に摂取できていないと鉄欠乏が生じることもあります。

・鉄の吸収不足:胃粘膜低酸症(低胃酸症)、胃切除
 ※胃粘膜低酸症(低胃酸症)とは慢性胃炎やピロリ菌感染、自己免疫疾患により胃粘膜が萎縮し、
  胃酸の分泌が減少する状態です。

症状
・貧血共通の症状:めまい、動悸、息切れ、眼瞼結膜蒼白、易疲労感
・鉄欠乏貧血特有の症状:スプーン状爪(匙状爪)、胃の低酸症、異食症
 ※鉄欠乏性貧血の症状は徐々に進行し、重度の鉄欠乏性貧血では多くの人が異食症という病気にな
  ります。
 ※異食症になると、氷や土など何か変わったものが無性に食べたくなります。
 ※鉄欠乏性貧血に粘膜萎縮症状を合併するものをPlummer-Vision症候群といいます。
 ※粘膜萎縮症状:舌乳頭萎縮(平滑舌)、舌炎、口角炎、口内炎、嚥下障害

治療
・原因の除去(出血がある場合は止血など)
・鉄剤の経口投与あるいは注射
・食生活での鉄摂取

※各栄養素を含む食品を以下に示します。
・タンパク質:魚介類、肉、卵、乳製品、大豆製品など
・鉄分:レバー、貝類、卵黄、緑黄色野菜など
・ビタミンC:柑橘類の果実、いちごやイモ類の野菜など
・ビタミンB12:レバー、魚介類、卵、乳製品など
・葉酸:レバー、豆類、緑黄色野菜など

歯科治療上の注意点
・貧血そのものが歯科治療において支障となることはありませんが、治療後の立ちくらみやめまいな
 どによる転倒や気分不快がみられることがあるため、その点については注意が必要です。
・舌乳頭萎縮の影響で平滑舌や味覚障害を生じる場合があるため、味覚障害を伴う他の原因との鑑別
 が必要となることもあります。
・Plummer-Vision症候群のような粘膜萎縮を合併する場合、嚥下障害を合併する可能性がありま
 す。

以上、鉄欠乏性貧血でした。