根尖性歯周炎はなぜ起こるのか?

みなさん、こんにちは!かさはら歯科医院、歯科医師の岩谷です。

先日、左上前歯の根っこのあたり(根尖部)の歯茎を指で押すと痛いという患者さんが来院されました。その歯の治療歴を聞くと、数年前に根っこの治療(根管治療)をしたとのことでした。検査の結果、歯を叩くと響く症状があるのと、根尖部の歯茎を綿棒で押すと少し痛みが生じていました。歯髄の診断は、”既根管治療歯(Previously treated)”、根尖の診断は、”症状のある根尖性歯周炎(Symptomatic Apical periodontitis)”とし患者さんの希望により再根管治療をすることになりました。

このとき患者さんから、「先生、前に根管治療をしたのに何で治らなかったの?何で根の病気は起こるの??」と聞かれました。

根っこの病気、根尖性歯周炎はなぜ起こるのでしょうか?

本日は「根尖性歯周炎はなぜ起こるのか?」についてわかりやすく説明をいたします。

さて、根尖性歯周炎はなぜ起こるのでしょうか。

根尖性歯周炎は、神経のお部屋の中(根管内)に細菌感染が起こることにより生じます。

こちらのグラフは、Siqueiraらの論文から引用したものですが(※1:Fig.1)、縦軸が細菌の数、横軸が時間を表しています。Aは、細菌の数が時間とともに増えていき、ある一定の値(Threshold: 閾値)を越えない場合はまだ根尖性歯周炎は起こっていない状態を表しています。Bは、細菌の数が閾値を超えると根尖性歯周炎が発症し、Cは根管治療により細菌の数が時間とともに減ってはいますが閾値より細菌の数が多い場合は根尖性歯周炎は治癒せず、Dで細菌の数が閾値より少なくなると根尖性歯周炎が治癒することを示しています。根管治療は根管内の細菌をできるだけ除去する治療であると言えます。また、根管内の細菌をゼロにすることはできませんが、細菌の数を閾値より少なくすることができれば根尖性歯周炎は治るということが言えます。

では、根尖性歯周炎の原因となる細菌は何処にいるのでしょうか?

実は細菌はお口の中にたくさんいます。唾液1mL中に1億から10億個の様々な種類の細菌がいると言われています。したがって、根管治療をする際には唾液を根管内に入らないようにする必要があります。

「ラバーダム防湿」という言葉を聞いたことはありますでしょうか?

ラバーダムは根管治療の際に、お口の上にかけるゴム様のシート(ラバーダムシート)のことで、シートに小さな穴を開けてその部分にクリップのようなもの(クランプ)をつけて治療する歯に装着することで、治療する歯だけをラバーダムシートの上に出すことができ、根管内に唾液が侵入することを防ぐことができます。これを無菌的処置と言います。ラバーダム防湿をすることで無菌的な環境を作ることができ、さらに治療に用いる薬液をお口の奥に流れないようにできることや、器具をお口の中に落として誤飲・誤嚥が起こることを防ぐことができるという別のメリットもあります。

本日は、”根尖性歯周炎がなぜ起こるのか?”について説明いたしました。

根の病気で悩まれている方は是非ご相談ください。

 

<参考文献>

・Siqueira and Rocas., Clinical implications and microbiology of bacterial persistence after treatment procedures, J Endod, 2008 Nov;34(11): 1291-1301.