こんにちは、歯科医師の齋藤です。
気温も寒くなり、乾燥する季節にもなりましたね。本日は口腔乾燥症についてお話しします。
口腔乾燥症とは、唾液の分泌が減少することで口の中が乾く状態を指します。ドライマウスとも呼ばれます。
唾液はお口の中で重要な役割を担っていることはご存知でしょうか。
自浄作用…食べかすや細菌を洗い流す
抗菌作用…細菌の繁殖を抑える(リゾチーム・IgAなどの抗菌成分)
緩衝作用…酸を中和して歯を溶けにくくする
再石灰化作用…唾液中のカルシウムやリンが歯の表面を修復する
潤滑作用…粘膜や歯を保護し、摩耗を防ぐ
よってむし歯や歯周病とも深く関連します。
1.むし歯の増加
唾液が少なくなると、食べかすや糖分が口の中に残りやすくなります。
さらに酸を中和する力が弱まるため、歯の表面(エナメル質)が溶けやすくなります。
2.歯垢・歯石の蓄積
唾液の洗浄力が低下すると、歯垢が歯に付着しやすくなります。
歯垢が硬くなると歯石となり、歯肉炎・歯周病を引き起こします。
3.歯周病の進行
唾液中の抗菌成分が減少するため、歯周病菌が増殖しやすくなります。
結果として、歯肉の腫れ・出血・歯の動揺などが起こりやすくなります。
口腔乾燥症にはさまざまな原因があります。
1. 唾液腺の機能低下
・加齢による唾液腺の萎縮
・シェーグレン症候群などの自己免疫疾患
2. 薬の副作用
・抗うつ薬・抗不安薬
・抗ヒスタミン薬(アレルギー薬)
・降圧薬(特に利尿薬、β遮断薬)
・抗コリン薬(パーキンソン病や膀胱過活動の治療薬)
3. 全身的な要因
・糖尿病(血糖コントロール不良で口が渇く)
・脱水(発熱、下痢、発汗、摂取不足)
・ストレス・緊張による一時的な唾液分泌抑制
4. 口呼吸・いびき
・鼻づまりや睡眠時無呼吸症候群が関係することもあります。
治療、対策としては以下があります。
1. 生活習慣の改善
・水分をこまめに摂る(ただし糖分の多い飲料は避ける)
・部屋の湿度を保つ
・口呼吸を避け、鼻呼吸を意識する
・禁煙、禁酒
2. 口腔ケア
・唾液腺マッサージ(耳下腺・顎下腺を軽く刺激)
・無糖ガムやキシリトールガムを噛む(唾液分泌促進)
・人工唾液スプレー・ジェルの使用
3.原因疾患の治療
・糖尿病やシェーグレン症候群などの治療を並行して行います。
放置すると虫歯や口臭だけでなく、嚥下障害・味覚障害・会話のしにくさなど生活の質(QOL)にも大きく影響します。
気になることがあれば歯科または耳鼻咽喉科に受診しましょう。
