Pulp revascularization

みなさん、こんにちは!

かさはら歯科医院、歯科医師の岩谷です。

 

夏の暑さがやわらぎ、少しずつ秋の気配が感じられる今日この頃ですが、いかがお過ごしでしょうか。

先日、山の方にある公園に遊びに行きました。栗が沢山落ちているのを見て秋の訪れを感じました。

みなさんは、秋を感じる出来事はございましたでしょうか。

 

突然ですが、”Pulp revascularization”という言葉をご存知でしょうか。

”Pulp revascularization”は、根っこ(歯根)がまだ完成していない根未完成歯で神経(歯髄)が死んでしまった成長途中の永久歯(幼若永久歯)に対して行われる処置です。この処置が成功すると歯根の成長が継続し、一度失われた歯髄の反応も回復する可能性があります。

外傷や歯の破折(中心結節破折)などの影響によって一度、歯髄が死んでしまった根未完成の歯に対して、洗浄や貼薬などの処置を行うことで根尖から根管内に血管と細胞成分に富む結合組織が増殖し、損傷を受けた歯髄に置き換わる現象です。その結果、根管壁の厚みを増しながら歯根が成長するため、歯根破折のリスクを下げることができます。

また、後々根管治療が必要になった際には、根尖が閉鎖している状態で治療を行うことができるので、

根管治療の難易度が下がり、治療の予後にも影響を及ぼします。

以下に、Pulp revascularizationのケースを紹介いたします。

 

 

 

 

 

 

 

Fig.1から治療前は右下5、6間に膿の出口(サイナストラクト)があり腫れが見られましたが、

Fig.2の治療後の口腔内写真から、その膿が消失しているのが分かります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Fig.3、Fig.4、Fig.5のX線写真から、治療後の歯根の成長が分かります。

Fig.3治療前のX線写真では根尖周囲に黒い影が見られます(根尖透過像)。

つまり、根尖周囲の骨が溶けているような状態です。

Fig.4, Fig.5と治療後の経過を辿ると、根管壁の厚みが徐々に増し、

2年半後は根管壁はかなり厚くなり、根尖閉鎖と根尖周囲透過像が消失しているのが分かります。

治療後に行った歯髄診では生活反応が認められています。

 

まとめると、Pulp revascularizationは、

 

①失活した根未完成の幼若永久歯に対して行われる処置

②治療後は症状の消失と根尖病変の骨治癒

③根管壁の厚みの増加を伴いながらの歯根成長

③歯髄診で陽性反応

 

となります。

 

ここまで読んでいただきありがとうございました。

この治療に興味のある方はぜひお問い合わせください。