妊婦における歯科治療と放射線について

こんにちは!歯科医師の山岸です!

前回に続き妊婦における歯科治療について書いていきます。

今回は特に妊娠時期によってどのような特徴があるのかも書いていきます。

 

まずは妊娠時期による特徴です。

○妊娠初期 0〜15週(約4ヶ月)

・0〜3週では薬物や放射線の影響で流産の可能性があります。

・5〜6週につわりが始まります。

・4〜7週では脳や心臓等の器官形成期にあたり、薬物や放射線の影響による奇形

の発症リスクがあります。

・8〜15週では歯や口蓋等の一部臓器は形成途中のため、奇形の発症リスクがあり

ます。

・12週頃につわりが終了します。

・15週頃に胎盤は完成します。

 

○妊娠中期 16〜27週(約3ヶ月)

・安定期にあたり、歯科治療を行う場合は最適な時期となります。

・16週以降は薬物や放射線による奇形は生じませんが、発育障害等は生じる可能

性があります。

・20週以降に母体の内科的リスクが増大します。

特にインスリン抵抗性増大(妊娠性糖尿病)や妊娠性高血圧症候群があります。

 

○妊娠後期 28〜40週(約3ヶ月)

・母体から胎児へのIgG移行が増加します。

・仰臥位低血圧症候群が生じやすいため、長時間の仰臥位を避けるのが好ましい

です。また、血圧低下時には左側仰臥位をとるとよいです。

 

続いて、放射線について少し触れていきます。

放射線とは、電磁波や各種粒子線の総称であり、電磁波にはX線やガンマ線等が

あります。

歯科治療時に撮影されるレントゲン写真にはX線が利用されます。

デンタルX線1枚の放射線量は約0.01ミリシーベルト、パノラマX線撮影は

約0.03ミリシーベルト、歯科用CT撮影は約0.1ミリシーベルトです。

1人当たりの自然放射線(年間)は日本平均 1.5ミリシーベルトです。

そのため、歯科治療時に利用されるX線は自然放射線1年分に比べて極めて少な

い値となります。

また、がんの過剰発生が認められないのは年間100ミリシーベルト以下とされて

います。

さらに、東京~ニューヨークまで航空機旅行(往復)を行なった場合、被ばく線

量は0.11~0.16ミリシーベルトと言われています。

※シーベルト(Sv)は人体に与える放射線の影響の単位です。

※レントゲン撮影時には防護エプロンを着用するため、さらに被ばく線量は抑え

られます。

 

最後に妊婦における歯科治療上の注意点おまとめます。

・嘔吐しやすいため口腔内での器具操作や印象採得に配慮が必要です。

・歯科治療は応急処置にとどめ、侵襲の大きい処置は分娩後に行います。

・歯科治療が必要であれば、妊娠中期(16〜27週)の安定期に行うことがありま

す。

・つわりなど嘔気の影響で口腔清掃状態が悪化しやすいです。

・妊娠性歯肉炎も発症しやすいです。

・胎盤通過性の高い薬物の使用や必要以上の放射線照射を避けます。

・分娩後の歯科治療は産褥期(分娩後6〜8週)以降に再開します。

 

以上、妊婦における歯科治療についてでした。🦷