妊婦における歯科治療について

こんにちは!歯科医師の山岸です!

今回は妊婦における歯科治療時の注意点について書いていきます。

まずは妊婦の生理的な特徴をおさえていきます。

 

○呼吸器系における特徴

一般的に成人は胸式呼吸と腹式呼吸を組み合わせて行なっています。

妊娠中は、横隔膜挙上の影響により、肺容量が減少し、腹式呼吸となります。

すると、代償性に呼吸数、1回換気量は増加します。

その結果、機能的残気量は減少し、呼吸性アルカローシスをきたしやすいです。

 

※呼吸性アルカローシスとは

体内で産生される炭酸ガスの量より、肺から呼出される炭酸ガスの量のほうが多

く、動脈血炭酸ガス分圧が低下して血液のpHが上昇した状態をいいます。

慢性型では無症状ですが、急性型の場合、深くて速い呼吸、めまい、ふらつき、

耳鳴り、四肢末梢の知覚異常、手足の痙攣、テタニーなどの症状を伴います。

 

○循環器系における特徴

鉄の喪失、ヘモグロビンの相対的減少により、鉄欠乏性貧血になりやすい。

循環血液量の減少、心拍出量の増加、末梢血管抵抗の減少がみられ、血圧は正常

あるいは低下します。

 

○代謝における特徴

胎児に糖供給を行い、母体での糖利用低下により、インスリン抵抗性が増大しま

す。(妊娠糖尿病)

 

○内分泌における特徴

エストロゲン、プロゲステロンの分泌増加により、妊娠性歯肉炎が生じます。

 

○消化器における特徴

胃液の分泌増加、消化管運動低下のため、便秘や嘔吐が増加します。

 

○血液、体液における特徴

血漿量と赤血球は増加し、白血球とヘモグロビンは減少します。

分娩時の胎盤剥離時出血に備えるため、フィブリノゲンが増加し、血液凝固機能

が亢進するため、播種性血管内凝固症候群(DIC)を起こしやすいです。

 

※ 播種性血管内凝固症候群(DIC)とは

凝固亢進状態になることから始まり、凝固亢進状態のために凝固因子と血小板が

使い果たされると、大量出血が起きるようになります。

凝固亢進状態は、病気や出産、流産、または手術の合併症により誘発されます。

頭部に重度の外傷を負った場合や、ショック、熱傷、凍傷、その他の外傷により

組織が損傷した場合等でも生じることがあります。

 

○泌尿器における特徴

胎児の発育に伴う子宮圧迫のため頻尿傾向となります。

 

以上のことを踏まえた上での歯科治療上の注意点は以下のようになります。

・嘔吐しやすいため口腔内での器具操作や印象採得には配慮が必要です。

・つわりなど嘔気の影響で口腔清掃状態が悪化しやすいです。

・妊娠性歯肉炎も発症しやすいです。

次回は、妊娠時期によってどのような特徴があり、どのような注意点があるのか

を書いていきます。🦷