根の治療での超音波洗浄について

みなさん、こんにちは!かさはら歯科医院、歯科医師の岩谷です。

早いもので今年も折り返し地点の頃になりました。まだ6月だというのに真夏のような暑さが続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか。

先日、根の治療が終わって患者さんから、「先生、治療中にジー、ジーという高い音が鳴っていたけど、あれば何の音?」と聞かれました。超音波の器具を用いて根管洗浄を行っていたときの音を気にされていたようです。本日は、根の治療における超音波洗浄について説明いたします。

 

根の治療の大まかな流れは以下の通りです。

1. アクセスキャビティプレパレーション

2. クリーニング&シェイピング

3. 根管充填(根管充填)

 

1では、根っこの中を触るために歯の上の部分に適切な大きさの穴を開ける操作のことです。歯の上の部分を削っていきます。

2では、根っこの中のお部屋をきれいにする操作です。機械的拡大と化学的洗浄に分かれます。

3では、きれいになった根っこの中にお薬を詰める操作です。

超音波洗浄は②の化学的洗浄にあたります。

 

根っこの中にNaOClやEDTAと呼ばれる溶液を満たした状態で超音波によって振動を与えることで、液体中に発生した無数の微小な気泡(キャビティ)が、破裂する際に生じる衝撃波を利用して、根管内の汚れを剥離・除去する現象のことであり、根管内の細菌を効果的に除去することができます。これをキャベテーション効果といいます。

キャビテーション効果には以下の特徴があります。

①気泡の発生:

超音波振動により、洗浄液中に無数の微細な気泡が発生します。

②衝撃波の発生:

発生した気泡が破裂する際に、周囲に衝撃波を発生させます。

③汚れの除去:

衝撃波の力で、根管内の汚れや細菌、感染源を効果的に除去します。

④洗浄効果の向上:

キャビテーション効果により、従来の洗浄方法よりも効果的な洗浄が可能になります。

根管洗浄におけるキャビテーションの役割は以下の通りです。

①根管内の清掃:

根管内の汚れや細菌を効率的に除去し、根管内を清潔に保つます。

②感染源の除去:

感染源となる細菌や炎症物質を除去し、根管治療の成功率を高めます。

③洗浄液の浸透促進:

キャビテーション効果により、洗浄液が根管の隅々まで浸透しやすくなり、効果的な洗浄を促します。

キャビテーションを用いた根管洗浄のメリットは以下の通りです。

①高い洗浄効果:

従来の洗浄方法よりも効果的に根管内を洗浄できます。

②効率的な洗浄:

短時間で効率的に根管内を洗浄できます。

③感染リスクの軽減:

感染源を除去することで、根管治療の成功率を高め、感染リスクを軽減することができます。

 

超音波やレーザーなどのエネルギーによって、液体中で音響的な流れ(ストリーミング)が発生する現象である。根管内に洗浄液を満たした状態でレーザーを照射したり、超音波振動を与えることで、この現象を誘発し洗浄液を効率的に根管内に循環させ、洗浄効果を高めることができ、これをアコースティックストリーミング現象と言います。

また、1980年にWellerによって提唱された超音波器具と専用の超音波チップを用い根管内を超音波振動によって根管内の隅々まで洗浄液を行き渡らせる方法をPUI(Passive Ultrasonic Irrigation)と言います。

この効果については2005年にGutartsにより、拡大形成終了後に通常の洗浄方法と本法の洗浄効果が比較検証され、その結果からは本法のほうが通常の洗浄方法と比べ洗浄効果が高いとされました。洗浄効果の高さの理由としては、根管内で超音波振動を起こすことでキャビテーション効果とアコースティックストリーミング現象を同時に発生させることとされています。

根の治療の際、「ジー、ジー」と音が鳴っているときに実はこのような現象が起こっていたのです。

 

ここまで読んでいただきありがとうございました。

まだまだ暑い日が続きますが、くれぐれもご自愛ください。