こんにちは。歯科医師の高橋(克)です。
本日の内容は、口腔内で起こるストレスの影響についてです。
①口腔内の乾燥
体が交感神経優位の状態であると、口腔内の粘液性の唾液の分泌が優位となり、口腔内の環境が乾燥ぎみになると言われています。口腔内が乾燥すると、唾液による自浄作用が低下するので、それに伴う口臭やう蝕や歯周病や酸蝕症の進行などにも影響が出るようです。
②ブラキシズムの影響
人間はストレスを感じると、それに伴う生理的な反応で強いブラキシズムを起こすと言われています。睡眠中の他に、仕事での大切な場面であったり、緊張する場所であったり、あらゆる環境で歯を強く食いしばったりする機会は多いのではないでしょうか。
食いしばりや歯ぎしり(ブラキシズム)の影響により、歯の破折や咬合性外傷(咬合力による歯槽骨の吸収)が起こりやすくなり、さらには顎関節症の症状が引き起こされることも良くあるようです。
その他の影響として、ブラキシズムが強いと口蓋部の骨隆起(顎の骨の隆起)なども育ちやすいので、発音障害などが起こることもあるようです。
③理由もなく、歯科治療のキャンセルをしてしまう
生活が仕事や家族中心になってしまうと、自分自身の事は二の次になってしまい、せっかく入れた歯科治療の予約をキャンセルしてしまうことがあるようです。
あるいは、その仕事や家庭の仕事のノルマがきつくて、時間ができてもとにかく体が疲れているので、歯科治療に行きたくなくなるというパターンもあるのではないでしょうか。
そうすると抜髄後(歯の神経を取る治療)や感染根管治療後(歯の中の感染した根管内の汚れを綺麗にする治療)の場合などは治療が中断することで、そのまま半年以経過してしまうと、抜歯(歯を抜くこと)しなくてはいけない状態になってしまうのです。
実はこのことは歯科業界では抜歯基準の常識と言われていることなのです。
しかし患者さんの事情を考慮してしぶしぶ歯を残す選択をされる先生もいらっしゃいます。当然その歯の予後はあまり良くないと先生から説明されることが多いのではないのでしょうか。
④免疫力の低下
ストレスがあることで、免疫力が低下して口内炎や歯周病などの炎症ができやすい、あるいは治癒が遅いということもあるようです。
⑤口腔内の衛生状態の悪化
ストレスを受けていると、ブラッシングが面倒になり、プラークや歯石が付着しやすくなったり、タバコやコーヒーなどの嗜好品を摂取する機会も多くなるので、それに伴う着色なども目立つようになります。
ストレスに負けない口腔環境を作るためには
まずは自分自身が最もリラックスできる行動は何か、それを探っていくことがストレス解消の糸口となってくると思いますので、はじめは軽い運動やデジタルデトックスや瞑想などいろいろと楽しみながら生活の中で試してみて、一番自分に合ったものを取り入れてみてはいかがでしょうか。