こんにちは。歯科医師の山岸です。🦷
今回は外傷歯の治療(後半)について書いていきます。
○脱臼
⚫︎震 盪
歯周組織の治癒と歯髄生活力の維持のため、1〜3か月後に予後を確認し、そ
の後少なくとも1年間は経過を観察を行います。
根未完成歯の場合、合併症は稀ですが、根完成歯の場合、根尖孔付近で歯の栄
養血管が断裂する可能性があり、血流が遮断されると歯髄は壊死し、歯は変色
します。
歯髄壊死の徴候が現れたら根管治療を行います。
⚫︎亜脱臼
歯周組織と歯髄血管の断裂を治癒させるため、歯の安静を保ちます。
通常、固定は必要ありませんが、咀嚼時に疼痛がある場合には 10〜14 日間固定
を行います。
1〜3か月後に予後を確認し、その後少なくとも1年間は経過観察を行います。
根尖孔付近で歯の栄養血管が断裂する可能性があり、血流が遮断されると歯髄
は壊死し、歯は変色します。
歯髄壊死の徴候が現れたら根管治療を行います。
⚫︎側方脱臼
・永久歯の場合、歯根膜線維と歯髄血管の断裂を治癒させ、審美性と機能をも
との状態に保つために、局所麻酔下にて整復し、10〜14 日間固定します。
・乳 歯の場合、外傷が重度であったり、交換期が近い歯でなければ、局所麻酔
下にて整復し、10〜14 日間固定します。
1〜3か月後に予後を確認し、その後、少なくとも1年間は経過観察を行いま
す。
受傷時の歯根の形成段階が予後を左右すると考えられます。
歯髄壊死の徴候が現れたら根管治療を行います。
⚫︎陥 入
・永久歯
根完成歯の場合、歯根膜線維と歯髄血管の断裂を治癒させ、審美性と機能を
もとの状態に保つために整復し、骨の治癒をはかるために6週間固定します。
この場合、歯髄栄養血管の断裂が生じるため、固定開始から10日以後に予
防的根管治療を行います。
根未完成歯では歯髄の治癒力と自然再萌出を期待し、経過観察を行います。
歯髄壊死の徴候が現れたら根管治療を行います。
・乳歯の場合、形成中の後継歯胚を障害している場合、あるいは転位が著しい
場合を除いて、歯髄の治癒力と自然再萌出を期待し、経過観察を行います。
1、2、3、6、12 か月後に再萌出と合併症の確認を行います。
受傷時の歯根の形成段階が予後を決定する重要な要素になると考えられていま
す。
根尖閉鎖した永久歯の場合、歯髄壊死がほぼ確実に起こり、歯根吸収の頻度も
高いです。
⚫︎挺 出
・永久歯の場合、歯根膜線維と歯髄血管の断裂を治癒させ、審美性と機能をも
との状態に保つために、整復し、10〜14 日間固定します。
・乳 歯の場合、外傷が重度であったり、交換期が近い歯でなければ、元の位置
に整復して治癒を期待します。
1〜3か月後に予後を確認し、その後、少なくとも1年間は経過観察を行いま
す。
受傷時の歯根の形成段階が予後を決定する重要な要素になると考えられていま
す。
⚫︎完全脱臼(脱落)
歯を直ちに再植できないときには、歯根膜線維の生活力の維持に効果がある溶
液中に保存します。
その後、歯根膜線維と歯髄血管の断裂を治癒させ、審美性と機能をもとの状態
に保つために、整復し、10〜14 日間固定します。
さらに、根完成歯は歯髄の生存が期待できないため、再植後 10 日以後に予防的
根管治療を行います。
1、2、3、6、12 か月後に歯髄と歯根膜の治癒を確認し、その後定期的に3
~4年は経過観察を行います。
※以下の場合は再植を行わないこともあります。
・全身状態不良の場合(免疫不全な状態、重度の先天性心奇形、重度のコン
トロールがされていない痙攣発作、重度の心身障害、重度のコントロール
されていない糖尿病)
・脱落歯を支えていた支持組織に感染がある場合
・乳歯の再植処置によって発育中の後継永久歯が損傷される危険性がある場
合
※再植の予後を決定する重要な要素を以下に記載します。
・受傷時の歯根形成段階
・歯根膜の損傷程度
・脱落歯が歯槽骨外におかれていた条件と時間
・保存用溶液(冷たいミルク(ロングライフミルクや低脂肪乳を除く)、生理
的食塩水)
○歯の外傷に伴う歯槽骨骨折
歯槽骨の形態と機能をもとの状態に保つため、骨片をもとの位置に戻し、歯列
固定を6週間行うことで、歯を支える歯周組織の損傷を治癒させます。
必要があれば軟組織を縫合します。
その後、骨折が治癒すれば、経過観察の必要性は低いですが、腐骨が生じると
6週以後も歯肉に発赤・腫脹 が残り、歯周膿瘍が見られます。
※外傷歯の固定において、以下の注意事項があります。
・固定してある歯で強く咬まない
・口腔清掃をしっかり行う
以上外傷歯の治療(後半)でした。🦷👋
