はじめまして!4月から勤務させて頂いております歯科医師の髙橋(寿)です。皆様の健康を維持・増進できるよう頑張りたいと思います!
今日は歯科と誤嚥性肺炎という病気との関連性についてご説明したいと思います。
誤嚥性肺炎は、高齢者に多くみられる肺炎の一種で、食べ物や唾液、あるいは口腔内の細菌が誤って気道に入り込むことで発症します。特に、飲み込む機能(嚥下機能)が低下した方では、わずかな誤嚥でも重篤な感染を引き起こすリスクが高まります。
近年、歯科の分野では、誤嚥性肺炎の発症予防における口腔ケアの重要性が強調されています。口腔内には常在菌を含め、数百種類もの細菌が存在していますが、清掃不良によりプラーク(細菌の塊)が増加すると、病原性細菌の割合も高まり、誤嚥時の肺炎リスクが大きく上昇します。
特に、高齢者や要介護者では、自身での口腔清掃が不十分になりがちです。そのため、歯科衛生士によるプロフェッショナルケア(専門的口腔清掃)や、適切な口腔衛生指導が不可欠となります。定期的なスケーリングや舌苔除去に加え、入れ歯の清掃管理も重要です。入れ歯に付着した細菌も誤嚥性肺炎の原因となるため、入れ歯の夜間の取り外しと清掃が推奨されます。
また、口腔機能の維持・向上を目的とした「口腔リハビリテーション」も効果的です。これは、唇や舌、咀嚼筋を鍛える体操やマッサージを行い、嚥下機能の低下を予防する取り組みであり、歯科医師や歯科衛生士が中心となって支援します。
そして見落とされがちなのが、「災害時の口腔ケア」です。地震や台風などによる避難生活では、水不足や物資の制限から歯みがきが後回しにされがちです。しかし、こうした状況下では免疫力も低下し、誤嚥性肺炎のリスクが一層高まります。実際、東日本大震災の際にも、高齢者の誤嚥性肺炎による死亡が多数報告されました。
非常時こそ、歯ブラシ・入れ歯ケース・洗浄剤などの「口腔ケア用品」を備蓄しておくことが、命を守る行動につながります。水が使えない場合でも、ウェットティッシュや口腔用ジェルを用いた清拭だけでも、細菌の増殖を抑える効果があります。

研究では、適切な口腔ケアを行うことで、誤嚥性肺炎の発症率を有意に低下させることが示されています。口腔清掃の徹底は、単にお口の中をきれいにするだけでなく、全身の感染症リスクを減らし、生命予後にも関わる大切なケアであるといえます。
当院は予防的処置を重視している歯科医院です。誤嚥性肺炎予防のためにも、ぜひ定期的な検診と専門的ケアをご活用ください。