口と歯の気になる症状(続編)

こんにちは。歯科医師の高橋(克)です。

本日は日常生活のなかで歯根破折をどのように予防したら良いか考えていきたいと思います。

歯根破折

歯の根の部分に起こる破折のことで、主に神経を抜いている失活歯で起こりやすい症状です。個人差はありますが、日常生活の中で強い咬合力が働いている部位に起こりやすいので、食いしばりや歯ぎしりなどのブラキシズムや、硬い食べ物の好みによる食習慣や、肉体労働時やスポーツなどの運動時にかかる咬合力などが影響することが多いようです。

先程も失活歯に多いとふれましたが、歯の中の神経がある生活歯は、強い咬合力がかかると自然な生体反応でその歯自体に痛みを感じますので、その後歯を守ろうとしてなるべく刺激しないようにその歯をかばって他の歯で噛もうとするのですが、既に神経がなければ痛みを感じないので本人が強い咬合力で意識せず噛んでしまうということが起こってきます。

さらに神経を抜いた歯は神経がある歯よりも脆くなっているため、通常土台を入れるのですが、その土台が太く長く入っている場合は破折リスクがより高くなります。

つまりは歯の根の部分に対して土台の割合が多いのであれば、残りの歯の部分が薄くなるのでわずかな力であっても破折しやすくなる可能性があるのです。

このように、日常生活の中で歯根の破折をどのようにして予防していけば良いのか最善の方法を自分なりに考えてみたところ、やはり歯科医院でおこなう定期健診で全体的なレントゲン撮影を定期的におこない、歯根破折が起こりそうな歯がどこにあるのかかかりつけの医院で歯科医師と一緒に確認することが良いのではないかという結論になりました。

患者さん自身が注意点を意識することで、その歯を長持ちさせようという意志が働き、睡眠時以外の時間帯に歯根の破折を予防することも可能になってくるのではないかと思うからです。

それだけでも効果は絶大だと思いますので、まず意識していただくことと、日中のブラキシズムの予防についても動機づけの意味での効果があると言われていますので、まず歯周病の予防だけでなく、自分のウィークポイントがどこにあるのか、それがどのように経過が推移してきているのか、それを知るためにも定期健診を継続していかれることをおすすめしたいと思います。

それと睡眠時や運動時などに無意識下で発生する強い咬合力やブラキシズムについての対策は、睡眠時のナイトガードやスポーツ用のマウスピースを歯科医院で製作し、日常的に使用することや、その他は

咬筋のあたりにボトックス注射をすることなどがあげられます。

しかしながら歯科医院でおこなう治療として、ボトックス注射は取り扱ってないところも多くありますので、是非やってみたいと興味がある方は、かかりつけの歯科医院に問い合わせをされると良いかもしれません。