ウォーキングブリーチ

みなさん、こんにちは!

かさはら歯科医院、歯科医師の岩谷です。

 

先日、歯の変色が気になるという患者さんが来院されました。詳しく話を聞くと、

数十年前に神経をとる治療をされていて、その後変色が起こったそうです。ずっと

気になってはいたそうですが前医から改善することは難しいと説明を受けたため諦め

ていたそうです。知り合いからウォーキングブリーチという歯を白くすることが

できる治療の話を聞いて相談したいと当院へ来院されました。

 

本日は、神経を取る治療をした後の変色を改善させる治療である、

「ウォーキングブリーチ」についてお話をいたします。

 

神経の治療をした後になぜ歯の変色が起こることがあるのでしょうか。

神経のお部屋の中は神経線維や血液で満たされています。神経を取る治療を行った

際に、神経のお部屋に治療で使用した薬剤やお薬、神経の一部、また血液などが

残ってしまうと変色が起こることがあると言われています。

 

ウォーキングブリーチに使用される薬剤(ホワイトニング剤)としては、

①過酸化水素、②過ホウ酸ナトリウム、③過酸化尿素があげられます。

 

①過酸化水素は、30-35%濃度の製品が用いられ即効性は

ありますが組織に接すると火傷を起こしてしまうため

取り扱いには注意が必要です。また、高濃度の過酸化水素は

歯の表面に吸収を引き起こしてしまう歯頸部外部吸収という

副作用が報告されています。

 

②過ホウ酸ナトリウムは、粉末状で前述した①過酸化水素よりも安全で扱いやすい

という特徴があります。過ホウ酸ナトリウムの粉末と精製水を2:1の割合で混ぜて

使用します。歯の変色が強い場合は精製水の代わりに30%過酸化水素を使用しても

良いと言われています。

 

③過酸化尿素は、表面が濡れやすい(親水性)環境で過酸化水素と尿素に分解され、

そのときに発生するフリーラジカルという分子によって漂白が行われます。

さまざまなレベルの変色に対して効果があると言われています。

 

当院では、安全性や操作性、効果を踏まえて②過ホウ酸ナトリウムを使用しています。

 

※ちなみに、奥歯に対して神経をとる治療を行った場合や前歯でも虫歯が大きく歯を

削る量が多かった場合には、クラウンという歯をぐるっと覆う被せ物をするため、

例え歯の変色が起こったとしても見えることはありません。

 

ここまで読んでいただきありがとうございました。

次回は、ウォーキングブリーチの手順について説明いたします。

 

まだ、寒い日が続きますので、くれぐれもお体にご留意なさってください。