みなさん、こんにちは。かさはら歯科医院、歯科医師の岩谷です。
寒さが身にしみる季節となりましたが、いかがお過ごしでしょうか。
本日は、根っこの治療の目的についてお話をいたします。
先日、被せ物と土台の歯の間に隙間が空いていて、被せ物の中で虫歯が広がっている患者さんが来院されました。虫歯が神経のお部屋の中にまで達していて、神経のお部屋に細菌感染が起こっていることが考えられました。根っこのあたりの歯茎を押すと痛みがあり、根っこの病気が疑われました。根っこの病気のことを専門的な言葉で、「根尖性歯周炎」といいます。この患者さんは、被せ物を外して根尖性歯周炎の治療を行うことになりました。
また、別の患者さんは、前歯の被せ物の色が気になるのでやりかえたいという希望で来院されました。歯をノックしたり、根っこのあたりの歯茎を押したり歯の検査を行いましたが、特に痛みはありませんでした。レントゲンを撮影すると以前根っこの治療をしていることが分かりました。神経のお部屋の中に入っているお薬の間には隙間があり、治療のときの様子を患者さんに聞くと、ラバーダムというゴムのシートを使っていなかったとのことでした。患者さんと話し合った結果、特に痛みなどの症状はありませんでしたが、もう一度根っこの治療を行ってから、新たな被せ物を入れることになりました。
このように、根っこの治療は神経のお部屋の中に感染があり痛みを生じているときに、その治療として行われる場合と、痛みは生じていませんが後々根っこの病気が起こらないように予防的行われる場合があります。
まとめると、根っこの治療の目的は、
①根尖性歯周炎の予防と治療
②痛みを取ること(疼痛管理)
の2つと言えます。
この2つの目的を達成するために、神経のお部屋に細菌感染を起こさせないような処置、すなわち「無菌的処置」と細菌感染が既に起こっている場合は「細菌の除去または減少」、神経のお部屋にまた細菌感染が起こらないように神経のお部屋を封鎖すること「根管系の封鎖」が非常に重要になります。「無菌的処置」としては、ラバーダム防湿、滅菌器具の使用、ディスポーザブル器具の使用、術野の消毒があげられます。「細菌の除去または減少」させるためには、根管形成、根管洗浄、根管貼薬が、「根管系の封鎖」としては根管充填、支台築造、歯冠修復があげられます。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
まだ寒い日が続きますが、体調にはくれぐれもお気をつけてお過ごしください。