陥入歯

みなさん、こんにちは。かさはら歯科医院、歯科医師の岩谷です。

朝晩はめっきり寒くなって参りましたが、いかがお過ごしでしょうか。

突然ですが、「陥入歯」という言葉を聞いたことはございますか?

「陥入歯」とは、歯の頭の部分の表層のエナメル質と内部の象牙質が神経のお部屋の中(歯髄腔)にさまざまな程度で陥入している形態異常の歯のことです。少し難しい説明になってしまいましたが、簡単に言うと、歯が作られる過程で陥入することによって形態異常を起こしてしまった歯のことです。歯の中にもう一つ歯ができているように見えることから「歯内歯」と言われたこともありましたが、現在では歯の発生の概念から、歯の外側のエナメル質が内側の象牙質に折り込まれてデッドスペースを形成していると考えられ「陥入歯」として統一されています。

永久歯における「陥入歯」の出現率は0.3~10%と言われており非常に珍しいケースと言えます(※1)。

1957年にOehlersは「陥入歯」を以下3つタイプに分類し、現在もこの分類が広く用いられています。従来のOehlersの分類では、歯軸方向への陥入の程度によって3つに分けられていましたが、タイプⅢにおいては、歯根側面に貫通するもの(Ⅲ-a)、根尖に貫通するもの(Ⅲ-b)の2つに分けられ、近年では4つの分類として用いられることが多くなりました。

TypeⅠ:陥入が歯冠部にとどまり、セメントエナメル境(CEJ)を越えないもの。

TypeⅡ:陥入がCEJを越えて歯髄腔内におよぶが、歯周組織との交通がなく、根管内にとどまるもの。

TypeⅢ:陥入が側方の歯周組織(Ⅲ-a)または根尖(Ⅲ-b)に貫通しているもの

Ridellらの文献では、TypeⅠが79%、TypeⅡが15%、TypeⅢが5%と報告されています(※2)。また、好発部位は上顎前歯部と言われています。

普段の臨床では、非常に稀なケースであまりお目にかかることはありませんが、遭遇した際にはCBCTを活用するなど「陥入歯」の構造を把握した上で治療を進めていく必要があると感じました。

 

 

<引用>

  1. Alani A, Bishop K: Dens Invaginatus. Part 1: Classification, prevalence and aetiology, Int Endod J, 41: 1123-1136, 2008.

     2. Ridell K, Mejare I, Matsson L: Dens Invaginatus: A retrospective study of prophylactic   invagination treatment, Int J paediatr Dent, 11: 92-97, 2001.