口と歯の気になる症状(続編)

こんにちは。歯科医師の高橋(克)です。

本日は楔状欠損についての原因や予防方法等、考察していきたいと思います。

 

楔状欠損とは

歯の歯頸部(根本)にみられる楔状の欠損のことです。

原因として考えられるもの

①歯周病の進行によるもの

②歯ブラシ圧の強さによるもの

③歯磨き粉のつけ過ぎによるもの

④歯列不正によるもの

⑤ブラキシズムの影響によるもの

などが挙げられます。

 

予防方法

①については、歯の硬組織の中でも、特に刺激を受けると欠けやすい部分の根面露出を引き起こす原因となる歯周病の進行をいかに予防していくかということです。それには、定期健診を継続しておこなうことなどが良いでしょう。

②は、歯ブラシの硬さをなるべく柔らかいものにする事や、磨き方の工夫をすることで予防できます。縦磨きや一本磨きなど、歯科医院で適切なブラッシング圧での歯ブラシ指導を受けることで、その人に適した磨き方が学べます。

③市販の歯磨き粉は、研磨剤の成分が含まれていることが殆どです。特に海外製の歯磨剤は含有率が高いものがあったりするので、使用する時などは注意が必要かもしれません。

④歯列不正があると、歯並びの内面外面の凹凸により、外側の凸部になっている歯に歯ブラシが強くあたります。そうすると歯肉の退縮がおこりやすくなり、歯の根元の部分が下がってきます。歯の根元の表面のセメント質は、歯の上の部分(歯冠部)のエナメル質より柔らかく、強いブラッシング圧などですり減りやすくなってしまいます。

改善方法としましては、ブラッシング指導を受けることや、歯列矯正をしてみるなどです。

⑤ブラキシズムとは、直接的に関係がなさそうにみえる楔状欠損ですが、実は密接に関係しております。歯の噛む面に強い力が持続的にかかることで、セメントエナメル境という隙間の柔らかい部分が、知らないうちに欠けてきてしまうのです。例えば睡眠中の無意識の状態だったり、作業に集中していたり、力のかかる仕事であったり、何かしらの運動であったり、あるいはストレスであったり原因はいろいろと考えられますが、様々な場面でブラキシズムは誘発されます。

予防方法としましては、マウスピースを作ることが最善策だと思われます。あとは、日常から歯ぎしり食いしばりを意識するだけでも違ってくるとも言われていますので、どんな時に食いしばっているのかを少し注意して観察してみてはいかがでしょうか。

 

歯がむし歯でもないのに自然と削れてしまって、神経まで出てしまった方をごくたまに見かけますが、本人の自覚がないまま欠損が大きくなって歯の神経まで失ってしまうことは相当ショックなことだと思われます。心配なようであればかかりつけの歯科医院へ受診されるようにお勧めいたします。