副オトガイ孔について

みなさん、こんにちは!かさはら歯科医院、歯科医師の岩谷です。

蒸し蒸しと暑い日が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか。

先日のお盆休みにアメリカ、ルイジアナ州ニューオリンズで頭頸部のカダバー実習(解剖実習)を行ってきました。講師はチュレーン大学の岩永譲先生です。解剖実習は大学での実習以来で、かなり久しぶりなので少し緊張しました。ニューオリンズはアメリカ南部に位置し、メキシコ湾の近く、ミシシッピ川の河口に開けた街です。フランス、アフリカ、アメリカの文化が融合した歴史ある都市です。ケイジャンスパイスを使用したスパイシーでユニークな料理が多く、ガンボスープが郷土料理です。ジャズの街とも言われており、路上で歌っている人がいたりお店の中でジャズが流れていたりとジャズを楽しめる街でした。

    

 

実習は講義とハンズオンが行われました。1)下顎孔伝達麻酔の解剖、2)下顎の切開剥離に関係する解剖(舌神経、オトガイ神経)、3)鼻腔・副鼻腔に関する解剖、4)骨膜減張切開の解剖、5)口蓋の解剖、について学びました。

下顎孔伝達麻酔は、下の親知らずの抜歯や下の奥歯の神経を取る治療の際に良く行われる麻酔です。神経の大本に麻酔を効かせる方法で、脳からきている神経が下顎に入る部分を狙って麻酔を行います。下顎の奥歯よりも後方上部の内側(下顎孔)から入り、下の前から4・5番目の歯の根っこの下部頬側(オトガイ孔)から出てくる神経(下顎神経から下歯槽神経、オトガイ神経へ分岐)です。下顎神経は、物を咬むときに運動する咬筋や側頭筋などの咀嚼筋をコントロールし、オトガイ孔から出たオトガイ神経は、あごの部分(オトガイ)の粘膜や皮膚、下口唇の知覚をコントロールしています。下顎孔伝達麻酔について、下顎管の走行を実際に頭頸部で確認し、刺入点の位置を含めて自分の手技が合っているかを確認することができました。

このオトガイ孔ですが、実は2つ存在することがあるようです。

2つ目のオトガイ孔のことを副オトガイ孔といい、副オトガイ孔の発生率は2.0-14.3%と報告があります(※1-3)。副オトガイ孔は近心上方に多く存在し、副オトガイ神経を切断してしまった場合はオトガイ部の知覚異常を認めたケースがあり、大きな副オトガイ孔が存在する場合は危険であり、インプラント治療や歯根端切除術の際には特に注意が必要です。大きな副オトガイ孔はCTで確認することができる場合があるので、治療の際にCTを活用すべきだと感じました。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

まだまだ暑い日が続きますがくれぐれも体調には気をつけてお過ごしください。

 

<※参考文献>

1. Iwanaga J, Saga T, Tabira Y, Nakamura M, Kitashima S, Watanabe K, Kusukawa J, Yamaki K. Clin Anat 2015; 28: 848-856.

2. Iwanaga J, Watanabe K, Saga T, Tabira Y, Kitashima S, Kusukawa J, Yamaki K. Clin Anat 2016; 29: 493-501.

3.Iwanaga J, Kikuta S, Tanaka T, Kamura Y, Tubbs RS. Clin Anat 2019; 32: 672-677.